【漫画】旅館オーナーは元“伝説の殺し屋”? Xで読めるオリジナル漫画『モリの温泉旅館』が読み応え充分

もともと頭の中にいたキャラ

――今回『モリの温泉旅館』を制作した経緯は?

鶴海:もともと葉木(モリさん)というキャラは、私のキャラの世界にいました。細かな設定はなかったのですが、「もともと殺し屋で今は旅館をやっている」「のほほんとしたキャラクター」「だけど心の中では未だに何かしらの葛藤や負い目を感じてる」といったものはありました。そのキャラ像を踏まえつつ、「読み切りだとどうなるのか」と考えて制作を始めました。

――葉木の顔に紙袋を被せた理由が気になります。

鶴海:“紙袋を被った不思議な人”という原型にありました。紙袋を被った長身の男性のビジュアルをして、他のキャラと会話してる様子を描いたところ、思った以上に「ほのぼのしているな〜」と感じたことが大きいです。

――難波もすでに鶴海さんの中で存在したキャラですか?

鶴海:はい。もともと既存キャラのお父さんとして作っていたキャラでした。正直「もう少し煮詰めて描いてあげれたら良かった」と反省しています。

――杜ノ温泉旅館を描く際に参考にした温泉旅館はありましたか?

鶴海:旅館自体の参考はないのですが、旅館のある土地自体は私の故郷である熊本県にある杖立温泉を参考にしました。鯉のぼりが本当に素敵です。足湯の場所を広くしたのは、“昼間のお客さんがいる時にはそこで屋台や催しをやっている”というイメージの旅館だったので広くしました。少し古びた旅館がすきなので、旅館は“豪華ではなくちょっと綺麗すぎない昔からある旅館”をイメージしました。

登場人物が多かったワケ

――読み切り漫画ではありますが、旅館のおばあさん、旅館のスタッフ、殺し屋など登場人物が多かったですね。

鶴海:モリさんという存在を魅せることが今回の漫画の目的でした。まずいつものモリさんを伝えるためには旅館スタッフは欠かせません。次に殺し屋時代を魅せるには敵を出す必要があるため殺し屋を登場させました。また、旅館の元オーナーであるおばあさんは最初登場させる予定ではなかったのですが、何回か描き直した際に「どうして彼は旅館をやっているのか」という疑問を覚え、「きっと彼を変えるとするならお年寄りだろう」と考えて登場させました。

――「葉木と殺し屋の戦闘シーンを見たかった」という思いもありました。戦闘シーンは比較的サラっとしていましたが、その理由は?

鶴海:やはりページ数が大きいです。漫画はページ数が多いから良いというわけではなく、本作のページ数も多すぎたと感じています。とはいえ、前半ページやおばあさんとの過去を減らすとモリさんのキャラクターが薄くなってしまう。そのため、優先順位的に戦闘シーンを削りました。また、“回想が終わったら敵が負けている”という見せ方にすれば、短いページでもモリさんの強さがより伝わると思ったことも理由です。

――今後の漫画制作の目標を教えてください。

鶴海:本誌へのデビューを第一の目標として、引き続き課題や研究を重ねながら賞獲得を目指していきます。「鶴海七」というペンネームでTwitter、pixivなどで活動しており、もしご興味があれば他の漫画も読んでもらえると嬉しいです。これからもいっぱい頑張ります!

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