2024年は辰年!『竜の学校は山の上』から『ミムムとシララ』まで、新年に読みたい”ドラゴン漫画”3選

 2024年は辰年。十二支の中では唯一、空想上の生き物である“辰”は、力や反映を象徴する生き物、権力を表すシンボルとされている。今回は、そんな辰年にちなんで“ドラゴン”にまつわる漫画をご紹介。新たな年がスタートした今、ぜひ今年の干支を感じる漫画との出会いを楽しんでみてはいかがだろうか。

『竜の学校は山の上 九井諒子作品集』(九井諒子)

 『ダンジョン飯』でお馴染みの九井諒子先生の初期短編集。魔王を倒したあとの孤独な勇者の物語、馬車馬のごとく現代社会で働くケンタウロス、進路に悩む女子中学生の天使..........ファンタジーとリアリティが融合した御伽話のような作品が9編収録されている。

 なかでも特に注目したいのが表題作である『竜の学校は山の上』。物語の舞台は、日本で唯一“竜学部”のある大学。ドラゴンはゲームの世界だったら活躍できるが、現実世界では食用肉に向いていないし、ペットとしての飼育も難しい......。現代日本においてドラゴンは需要がないという問題に直面しながらも、なんとか活用方法を見出そうと奮闘する竜学部の学生たちの群像劇だ。

 ドラゴンの卵や肉をなんとか食用として活用できないか? と目玉焼きや鍋を作って試食するシーンは、ごく自然にファンタジーと日常が共存していて、もしかしたら本当にあるのかもしれない未知の世界を覗き見しているような感覚がして心が躍る。果たして学生たちはドラゴンの活用方法を見出せるのか? “ハッピーエンド”という終わりを描くのではなく、これからも歩み続けようと.......新たな希望と前進を感じるラストは必見。

『ルリドラゴン』(眞藤雅興)

 「このマンガがすごい!2024」オトコ編9位にランクインした『ルリドラゴン』。昨年6月に「週刊少年ジャンプ」で連載開始するやいなや、ジャンプらしからぬ“ゆるさ”と“くせになる可愛さ”で話題を呼んだ本作。

 ある日突然、女子高生・ルリの頭に2本のツノが生えてきた。その出来事をきっかけに彼女は自分の父親がドラゴンであることを知るが、別にドラゴンの血を引く娘だからといって、何か宿命を背負わされるわけでも、冒険に出るわけでもなく……その後もただただいつもの日常が続いていく。

 次第にツノ以外にもドラゴンらしく(?)口から炎が出ててくるなど、半ドラゴンであるがゆえの第二次性徴、それによって周囲へ及ぼす影響に悩むルリだが、そんな彼女を変わらずに受け入れる、教師や友人達の相互理解の姿勢が読み手の胸を打つ。そして、彼女が変わらずに学校生活を送れるようにと、見えないところで支援している母親の隠れた愛。きっと自分の日常にも溢れているのかもしれない、周囲の優しさや愛情について考えたくなる一冊だ。

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