中条あやみ「物事の捉え方や視点を少し変えてくれる本」初翻訳『星の王子さまのことば』で気づいたこと

 1943年にアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが発表した『星の王子さま』は、2023年で80周年を迎えた。子どもから大人まで全ての世代に愛される世界的ベストセラーは、いつでもどこでも、どんな時でも、私たちが進むべき道を指し示すような、心に響くメッセージがこめられている。

 そんなメモリアルイヤーに『大切なことを教えてくれる 星の王子さまのことば』(かんき出版)が12月に刊行され話題となっている。なぜなら今回、この名言集を翻訳したのは、女優でモデルの中条あやみ氏だからだ。今回の書籍で中条氏が翻訳のベースとしたのは『星の王子さま』のフランス語の原書と同時に発売されたキャサリン・ウッズの英訳版だ。原書の世界観を詩情豊かに再現したキャサリン・ウッズの翻訳版には根強いファンがいる。

 中条あやみ氏は、幼いころから『星の王子さま』を愛読しファンであったそうだ。それは、彼女が多様な文化を持っており、他の人とはちょっと違うことに悩んでいた子ども時代のことが関係しているという。そして、現在でも『星の王子さま』は「何が本当に大切なのかをいつも教えてくれる大切な本」だと話す。中条あやみ氏の想いとことばで紡がれた今回の書籍はどのように生まれたのか。初翻訳と本書への思いを聞いた。(リアルサウンドブック編集部)

--中条さんが『星の王子さま』を子供の頃に読んだ印象と大人になって改めて読んだ印象、それぞれ違いがあれば教えてください。

中条:子供の頃に読んだ時は、私自身が外国の文化の中で育ったためか周りと価値観が違ったりする部分があり、みんなと一緒ではないことに悩んでいた時に図書室で読み、本に書いてあることに共感できたりとソウルメイトを見つけたような感覚でした。大人になって自分が何者なのか模索している時に友達からもらった時は、『あなたはあなたらしくいていいしこれからまだまだ沢山の冒険が待っている』と背中を押してもらっているような気持ちになりました。

--さまざまな場面で中条さんを助けてくれた本なのですね。『星の王子さま』の中で特に好きな一節がありましたらその理由とともにお教えください。

中条:『本当に大切なことは目に見えないんだよ』という一節は私も大切にしている言葉です。色んな情報が目に見える今の時代ですが、それは表面的なものであり本当の部分は心で見ようとする必要があるなと思います。

--今回の『星の王子さまのことば』は初の翻訳本となります。日本語に翻訳をされるにあたって注意されたことはありますか。

中条:まず思ったことは、作者のサン=テグジュペリさんがどんな方だったのか、どんな事を伝えたかったのかという事を知らないのに翻訳してはいけないということです。なので、サン=テグジュペリさんのお人柄が書かれてある記事や文章などをいろいろと読んで勉強をして翻訳作業に入りました。

--今回の書籍には「大切なことを教えてくれる」というタイトルがついています。中条さんにとって『星の王子さま』からどんな「大切なこと」を学びましたか。またご自身が生きる上で「大切にされている」ことがあればお教えください。

中条:私自身、うまく気持ちを伝えられないとか、コミュニケーションにおいて不器用なところがあると思っていたんです。だけど『星の王子さま』を読んで気持ちや想いを素直に伝える事の大切さを学びました。言葉にしてみない事には、自分がどう感じているかなんて相手は察することができないですよね。人間なんだから、物事によって人それぞれの感じ方は違うということも学びましたし、そういった気持ちはいつも大切にしていきたいと思っています。

--中条さんにとって読書とはどのようなものでしょうか。

中条:私にとって読書とは、新しい価値観との出合いや、発見があるものですね。本を読むことで感性が豊かになる経験は、いつも幸せな事だと思っています。

--『星の王子さま』以外で影響を受けた本があればその理由とともに教えてください。

中条:イソップ寓話の『北風と太陽』には影響を受けました。誰かの心を動かすには厳しさや無理矢理ではなく、相手がそうしたいと思わせる努力が必要なのだなと教えてくれました。私にとっていくつになっても特に人間関係で役立つ本です。

--最後に今回の『星の王子さま』を手に取っていただく読者の方にメッセージをお願いします。

中条:原書である『星の王子さま』は、子供の時に読んだ時と大人になってから読んだ時とでは感じ方が違うと思います。私にとっても『星の王子さま』は、読む年齢によっても、生きているうえでもさまざまに起きる物事の捉え方や視点を少し変えてくれる本でした。その経験ができたことで、今まで気づかなかった素晴らしい発見や景色があるのだと実感させてくれました。私が悩んでいる時にプレゼントされた『星の王子さま』を読んで温かい気持ちになったように、是非大切な人や自分へのプレゼントにしてみてください。

 

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