『進撃の巨人』ミカサとエレンはなぜ決別した? アニメ最終回に備えて2人の関係を振り返る

※本稿はアニメ『「進撃の巨人」The Final Season 完結編(前編)』までの内容に触れています。ネタバレにご注意ください。

  アニメ『進撃の巨人』の主役といえば、主人公のエレンだけではなく、ミカサを一緒に思い浮かべる人が多いはず。同作は11月4日24時にNHK総合で放送される『「進撃の巨人」The Final Season 完結編(後編)』をもって完結する予定だが、数奇な運命に翻弄されてきた2人にどんな結末が待ち受けているのだろうか。

  本稿では最終話の放送に備えて、これまで描かれてきたエレンとミカサの関係性と、その変化について振り返りたい。

  まずエレンとミカサの出会いは、幼い子どもだった頃にまで遡る。ミカサは人里離れた山奥の村で暮らしていたが、希少な東洋人の血を引いていたことから、ある日家を襲撃されてしまう。そこで両親を失い、連れ去られそうになったところを救ってくれたのがエレンだ。ミカサはこの時エレンに巻いてもらったマフラーを、肌身離さず身に着けるようになった。

  その後、成長したミカサは「人生が続く限り…」「一度死んだ私を再び生き返らせた恩は忘れない」とまで言っており、エレンに自分の一生を捧げるほどの執着を見せるように。エレンが訓練兵に志願することを明かした際には、「あなたを死なせないため」という理由で付いていくことを決め、もっとも危険な調査兵団に入ることを決めた時も同じ進路を選ぶのだった。

  調査兵団の一員として戦うようになったミカサだが、その胸にあるのは巨人への憎しみではなく、大事な人であるエレンを守りたいという気持ち。「エレン、あなたがいれば私は何でもできる」という名ゼリフからも分かるように、その情熱こそが彼女の行動力の源泉となっている。

  他方でエレンは、ミカサほどストレートに愛情を表現することは少ない。しかし根底には、たしかに“ミカサを守りたい”という気持ちがあった。それを象徴するのが原作12巻、アニメではシーズン2、12話での出来事だ。

  エレンをライナーたちから奪還する作戦の最中、落馬するミカサ。巨人が目の前まで迫るなか、エレンも巨人化で対抗しようとするが、なぜかそれに失敗してしまう。そこでミカサは死を覚悟し、「私に……生き方を教えてくれてありがとう」「私にマフラーを巻いてくれてありがとう」とエレンに感謝を伝える。するとエレンはもはや巨人化を諦め、素手で巨人に殴りかかるのだ。その姿からは、自らの命を捨ててでもミカサに一瞬でも長く生きてほしいという熱い想いが感じられた。

  しかしミカサとエレンの幸福な関係は、永遠には続かなかった……。

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