「単行本が売れなくなる……」出版社が二の足を踏んだ中、集英社がメディアミックスで圧勝できた理由
集英社がメディアミックスのパイオニアになれたのは?
鳥嶋は以前のような部数回復は難しいと考え、メディアミックスを勢力的に推し進めた。鳥嶋は鳥山明を発掘した名編集者として知られるが、『Dr.スランプ』や『DRAGON BALL』の大成功で、メディアミックスの強みをもっとも熟知していた人物でもあった。かくして、以後は「ジャンプ」の原作のアニメが以前にもまして生まれるようになったといわれる。
1980年代までは、アニメ化されるとアニメで満足してしまい、原作の単行本が売れなくなるという理由で、出版社にはアニメ化に消極的な編集者が多かったと言われる。信じられない話だ。アニメ化されるとその視聴者は原作の単行本も買い求めるようになるのは、今では常識だからである。そのため、各社がメディアミックスに力を入れるようになっている。
今や、漫画のメガヒットはメディアミックス展開にありといわれ、いかに魅力あるアニメを生み出すかにかかっているといわれる。そして、アニメを印象付ける最重要なカギがアニソンである。令和のランキングを見ると、上位のアニソンの原作はことごとく単行本が数千万部規模で売れたタイトルになっている。集英社の独走は今後も止まらないのか、それともその地位を脅かす出版社が出てくるのか。もしくはIT系など異業種から出てくるのか。今後の動向が注目される。