いちばん簡単でうまいカルボナーラはどれ? 料理研究家たちの最新レシピ三種を食べ比べ

牛脂がやみつきの秘密! 巨匠が”家にあるもんで”作る「コンビーフのカルボナーラ」

 最後に紹介する『ビストロ・アルモンデ!』は、フレンチレストラン「シェ松尾」元オーナーシェフの松尾幸造、イタリア料理店「リストランテ アクアパッツァ」オーナーシェフの日高良実、人気料理家の上島亜紀の3名による共著だ。

 「アルモンデ」は「あるもので」を意味し、わざわざ食材や調味料を揃えずとも、冷蔵庫のものや乾物、缶詰めなどの買い置き品でレストラン級の味を再現させる。一見、『虚無レシピ』や『疲れ果てごはん』とは対照的なよそゆきの料理集に見えるが、普段使いからここぞという記念日までマルチに活用できる一冊なのだ。

 YouTuberとしても活躍するパスタの巨匠・日高が考案した「コンビーフのカルボナーラ」には、ストックしておくと何かと便利なコンビーフ缶が一人分に対してまるまる一個使われる。卵液にコンビーフの塩気と牛脂がなじんだソースは濃厚さがブーストされ、未だかつてないほど力強いカルボナーラをワシワシと味わえた。フレンチやバル風のおつまみも網羅し内容充実、おもてなし料理やおうちごはんを手軽に格上げしたい人は迷わず買うべき一冊である。


 作ってみたい一皿、読んでみたくなった本はどれだっただろうか。サバイバル感覚でリュウジのレシピにチャレンジするもよし、山本の鉄板レシピでゴキゲンになるもよし。おうちごはんをアルモンデ(あるもので)素敵に作れば、達成感まで味わえるかも知れない。美味しい料理と自炊の喜びで、疲れも虚無もじゃんじゃん吹き飛ばしていこう。

関連記事