レインボー・ジャンボたかお、初の小説で表現したリアリティ 「コントと同じテンションで書いている」

 YouTubeチャンネル登録者100万人を超えるお笑い芸人で、コント師として高い評価を受けるレインボー・ジャンボたかおが9月、初の小説となる『説教男と不倫女と今日、旦那を殺す事にした女』(KADOKAWA)を刊行した。発売してまもなく重版が決定されるなど、話題になっている。

 芸人としても“作家”としても、「リアリティー」を追求して人に楽しんでもらおうとする姿勢は変わらない。クスッとした笑いも、鋭く刺さるワードセンスも笑いへと繫がっていく。しかし、全編を通して感じるのは〝笑い〟だけではない。ひたむきにコンプレックスを解消しようとする登場人物たちーー彼らはレインボー・ジャンボたかお自身でもあり、相方・池田でもあり、そしてなにより読者の分身なのかもしれない。

 なぜ、リアリティーを表現することができたのか。そして、これから先の芸人活動にどのように生きてくるのだろうか。ジャンボたかお本人に聞いた。(山岸南美)

レインボー ジャンボたかお
吉本興業所属。相方の池田直人とお笑いコンビ、レインボーとして活動。
千葉県千葉市出身、血液型O型。毎日コントをアップしている
YouTubeチャンネル『レインボーコントチャンネル』の登録者数は100万人を突破している。

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ジャンボたかおリアリティーは身近なところから生まれる

――初の小説執筆おめでとうございます。完成した本を見たときの気持ちから教えてください。

 シンプルに嬉しかったです。みなさんの目に一番最初にはいるのは表紙だと思うんですけど、こちらは中村祐介さんに力をお借りしました。絵柄のインパクト、ハッキリとした色使いなど、本当に素敵に仕上げていただけて、感動しました。下絵を拝見したときから、「これはすごい本になるぞ」と思っていましたし、実際に完成した本を見てみると、かなり目立つ印象です。

 ただ、「本が完成したんだ」という実感を持てたのは2週間ほど経ってからだと思います。相方の池田やまわりの人たちに自分の小説を読んでもらって、感想を言われるうちに少しずつ……という感じで。なので、実感できたのは(このインタビューの)2日前くらいなんですよね。

――相方の池田(直人)さんからはどのような反応をもらいましたか。

 池田からは「自分のこと書きすぎじゃん」と言われるくらい、自分を投影した作品になりました。最初に小説執筆のお話をいただいたときから池田はずっと応援してくれていて、締め切りに追われている僕を見て「頑張れよ!」と声をかけてくれました。

 池田は基本的に僕のすることに対して前向きにとらえてくれるし、僕がだらしなくてうまくできないことも池田がコントロールしてくれています。

――初めての小説とは思えないくらいリアリティを感じました。どのようにつくりあげたのですか。

 自分で書いてみて、本当に小説家の人たちはすごいなと思います。というのも、僕の場合は自分の体験や、人から聞いたエピソードなどを織り交ぜながら書いています。なので、リアリティーが出て当然なんですよ。だって本当にあったことがベースにあるんだから。

 だけど、小説家の人たちは自分が経験したことだけじゃなくて、頭の中で考えたことを説明することもたくさんあると思うんですよ。だから、本当にすごいと思います。僕にはできないです。

――人から聞いたエピソードというのは池田さんご自身のものもありますか。

 実はあります。小説の終盤、とある子どもが芸能の道に進む描写があります。その子はテレビに出ても上手く個性を出せずに、まわりの子役たちとどんどん差が開いていく。そんなときに、事務所の社長から「きみは苔が好きだよね?」と突然聞かれますが、当然その子は苔が好きなんて言ったことはありません。しかし、否定しても「いや、きみは好きなはずだ」となぜか苔好きという個性を無理やり押し付けられてしまいます。

 芸能の世界では、個性を手に入れたほうが絶対に有利と考える事務所の社長だったんでしょうね。この話は池田が子役時代の話をベースにしています。池田は10年ほど子役をしていた時期があって、この話は僕が特に好きなエピソードです。

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