『るろうに剣心』実は猛者ばかり? 「鵜堂刃衛」「石動雷十太」……剣心を脅かした初期の敵キャラたち

『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に登場する強敵といえば、おそらく志々雄真実を始めとした「京都編」以降のキャラクターを思い浮かべる人が多いだろう。しかし実は物語の初期に出てきた敵たちも、今振り返れば十分驚異的な実力を持っていたと言える。今年7月から新作アニメの放送が始まったこともあり、そうした“初期の強敵たち”を思い出すファンが増えているようだ。

  序盤に登場したキャラクターのなかで、最強と呼ぶにふさわしいのは、間違いなく鵜堂刃衛だ。彼は“黒笠”の異名をもつ凄腕の人斬りであり、独自の美学に基づいて多数の人の命を奪ってきた。さらにその異常性から、幕末の頃に所属していた新撰組を追われた過去をもつ。

  同じ激動の時代を生きた剣客だが、“不殺”の誓いを立てた剣心とは対称的な存在と言えるだろう。命のやりとりに人生を捧げているだけあって、その実力は折り紙付き。卓越した剣「二階堂平法」の使い手として、剣心を圧倒した。

 「二階堂平法」の秘技である「心の一方」は、高めた剣気を目から発するというもので、催眠術に近い効果をもつ。相手に触れることもなく金縛りにすることが可能で、人の命を奪うことすらできるほどの威力だ。さらに「影技 憑鬼の術」では、自己暗示によって潜在能力を引き出し、肉体を変貌させるという離れ業まで実現している。

  何年も前に人斬りを退いたブランクがあったとはいえ、剣心が技を見切られ、傷を負うことになった以上、刃衛が相当の手練れだったことは疑う余地がない。覚醒して「人斬り抜刀斎」に戻った剣心に敗れたものの、作中で初めて彼を本気にさせた人物として、刃衛は読者たちに強烈なインパクトを与えた。

  なお、作者の和月伸宏は『るろうに剣心』の連載を始める前に、「三十週」という尺を想定して物語のヒナ型を構想していた。そこでラスボスとして設定されていたのが刃衛だ。そう考えると、規格外の強さだったことにも納得できるだろう。

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