映画『君たちはどう生きるか』子どもには理解できない作品なのか? 思い出されるのは作家・ロアルド・ダールの影響

『君たちはどう生きるか』とロアルド・ダール

『君たちはどう生きるか』はどうか。

  特に異世界に突入してからの後半は、伏線の回収がない、展開が早すぎる、説明不足、整合性がない……さまざまな厳しい意見を目にしたが、これらは、映画の意味や背景をわかろうとし過ぎているからこそ感じる不満なのではないか。

  もっとピュアな心で映画を観れば、もっと異世界を楽しめるだろうし、本質的なものを感じ取れるのではないかと思う。

  タイトルとなった吉野源三郎氏の小説『君たちはどう生きるか』に感銘を受けた幼少期の宮崎氏。作中で主人公・牧眞人が同書を読んで号泣するシーンは宮崎氏本人の投影だろうし、その感動を現代の子供たちにも伝えたいと思っているはず。

  第一、タイトルの問いかけは子どもたちに向けられているのだから、おいてきぼりにするなど考えにくい。

 ひとつ間違いなく言えるのは、子どもたちの心にどう刺さったかは、子どもにしかわかり得ないし、『君たちはどう生きるか』は子どもの成長物語とファンタジーが入り混じった作品である、ということ。

  子どもにはわからない、玄人向けの映画だと敬遠せず、これまでの宮崎作品通りに親子で映画館に観にいくべきだと思う。ちょっと難しい内容だと感じたとしても、親子で感想を語り合って理解を深めてみてはいかがだろう。

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