『鬼滅の刃』“痣”を発現させた炭治郎は25歳までに死んだのか? 歴代の「痣者」たちの宿命から考察

※本稿は、『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)のネタバレを含みます。同作を未読の方はご注意ください。(筆者)

 『鬼滅の刃』には、「痣者」(もしくは「痣の者」)と呼ばれる複数の剣士が登場する。“始まりの呼吸”の剣士、継国縁壱と同じような痣を体に発現させた者たちのことだ。

 「痣」を発現させた者は、いずれも「上弦の鬼」と対等に戦えるほどの強い力を得ることができるのだが、その代わり――おそらくは肉体と精神にかなりの負担を強いるせいだろう――ほとんどの者は25歳までに命を落とすといわれている。

 『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎は、その痣を、吉原遊郭における上弦の鬼(妓夫太郎)との戦いの中で発現させたのだが、そんな彼に“共鳴”するかのごとく、「柱」と呼ばれる上位の剣士たちもまた、次々と痣を発現させることになる(新たに痣を発現させるには、39度以上の体温と200以上の心拍数が必要とのこと)。

 そんな「痣者」たちの多くは、残念ながら、無限城、そして、宿敵・鬼舞辻無惨との最終決戦において戦死することになるのだが、中には重傷を負いながらも生還できた剣士がいないわけではない。

 果たして生き残った“彼ら”は、25歳よりも先の人生を歩むことができたのか。本稿では、あらためてそのことを考えてみたいと思う。

25歳を越えても死ななかった「例外」とは?

 先ほど私は、「ほとんどの『痣者』は25歳までに命を落とす」と書いたが、これは言い換えれば、「例外はある」ということでもある。そう、25歳どころか、老境に達してもなお、凄絶な剣を振るい続けた「痣者」がいるのだ。

 それは、前述の継国縁壱である。

 そこで、まずはその縁壱が、いかなる特徴を持った剣士だったのかを以下に箇条書きしたい。それがおそらく、「25歳を越えても死なない条件」ということにもなるだろう。

1. 生まれた時から顔に痣があった。
2.「日の呼吸」の使い手である。
3.「透き通る世界」を見ることができる。

 また、次に挙げるのは、『鬼滅の刃』の作中に出てくる、縁壱以外の主な「痣者」たちの名である。

○継国巌勝(縁壱の兄。のちに上弦の鬼「黒死牟」になる)
○竈門炭十郎(炭治郎の父)
○竈門炭治郎
○時透無一郎
○甘露寺蜜璃
○冨岡義勇
○悲鳴嶼行冥(痣の発現時の年齢は27歳であり、これも1つの「例外」である)
○不死川実弥
○伊黒小芭内

 それでは、このうちの何人が、先に挙げた縁壱の特徴と全て合致するのかといえば、実は1人しかいない。それは、意外にも(?)炭治郎の父・炭十郎であり、じっさい彼は、病気で早世はしたものの、25歳よりは長く生きられたものと思われる。

 具体的にいえば、炭十郎には生まれつき薄い痣が額にあり、「ヒノカミ神楽」と名を変えた「日の呼吸」を継承していただけでなく、「透き通る世界」を見ることもできた(「透き通る世界」とは、文字通り、敵の筋肉の動きなどが透き通って見える状態のことであり、その境地に達することで、相手が次に仕掛けてくる攻撃を読むことができる)。

 しかし、彼以外の「痣者」たちは、3つの“条件”を全て満たすことができないため、(鬼になり、永遠の命を手に入れた継国巌勝を唯一の例外として)言い伝え通りみな25歳までに死んだ――という見方もできなくはない。

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