「フルメタ」「シャナ」「ブラックロッド」……平成の傑作ラノベが続々と復活! 今なお輝く魅力とは?

 ライトノベルでは他にも"復活"が相次いでいる。三枝零一のSFアクションシリーズが『ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星〈上〉』の刊行から8年4カ月を経て『〈中〉』『〈下〉』を相次ぎ刊行。『X』での完結に向かって動き始めた。第2回電撃ゲーム小説大賞で《大賞》となった古橋秀之による『ブラックロッド』および続編の『ブラッドジャケット』『ブライトライツ・ホーリーランド』の「ケイオス・ヘキサ」3部作も、合本『ブラックロッド[全]』として復刊された。

 『ブラックロッド』と言えば、冒頭から繰り広げられるバトルシーンで「機甲折伏隊(ガンボーズ)」たちが般若心経をバックにナウマクサマン弾をバラまき、本編では不死身の吸血鬼が軽薄な性格で偽装して凶悪な犯罪者を追いかける和風サイバーパンク的内容で、ファンタジーが多かったライトノベルの読者を驚かせた。「フルメタ」や「灼眼のシャナ」、「ウィザーズ・ブレイン」が出てくる下地を作った作品とも言える。

 復刊といっても半ばインディーズからの登場で普通の書店では手に入らないが、題字もイラストもない真っ黒な表紙で、天地や小口に天金加工が施された魔導書のような装丁は逆にシリーズに相応しい。探してでも手に入れたい1冊だ。

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