悩みは大きいほど成長できる

棚橋：ただ、恋愛に関する相談については、なかなか答えが出しづらかったですけど……。

ーー今回収録されているものだと、「社内結婚します。ただ……彼の元妻が同じ会社にいます」「婚活で昔の彼と比べてしまう」「彼の気持ちがわからない。夢を追うのを待つべきか」などの相談ですね。

棚橋：恋愛は、それぞれの正解が違ってくるものですからね。なので、どうしてもわからないときは、妻に相談しました。相談されている僕が、妻に相談するという、相談の2重螺旋構造が浮かび上がってくるんですけど（笑）、妻は達観している人なんで、恋愛関係の相談でも「そんなん、その人が悪いわ」とか、バッサリいくんですよ。でも、それが大きなヒントになることもありましたね。

ーー単行本では、ボーナス・トラックとしてミドル世代の男性からの悩みも収録されています。「自分の人生に意味があったのか」と途方に暮れる50代、「娘に尊敬されないのがつらい」という40代男性……。

棚橋：ミドル男性の悩みは、僕と年代が近いこともあって、より共感できましたね。それで強く意識したのは、「悩み」というとネガティブに捉えがちなんですけど、「悩む」ということは、そのことに対して熱量があるということなんです。どうでもいいことだったら、そもそも悩まないじゃないですか。 なんとかしたい、とても大切なことだからこそ悩むというのが大前提なんですよね。

ーー真剣に生きているからこそ、悩む。

棚橋：いいこと言いましたね！　その悩みを相談するという行為にも、熱量があるわけじゃないですか。自分だけで抱えていないで、誰かに相談して、なんとか救いを求めている。その行動力があるだけで凄いことなんですよ。僕もこの連載でみなさんの生きるチカラに勇気づけられましたし、相談に乗ることによって、自分が経験してない問題や、シチュエーションを疑似体験して僕自身も成長できた。これは、これからの仕事やプロレスの試合にも生かせると思っています。

ーー棚橋さんは圧倒的に前向きですね！　すべてをパワーに変えている。

棚橋：筋肉というのは、重い負荷がかかればかかるほど肥大して強くなるんです。悩みだって大きいほど成長できますし、僕も難問を受ければ受けるほど相談力が上がるという、非常にwin-winな関係が成立してるいんですね。なので、この連載もまだまだ続けていって、単行本も続々と出していければと思っています。第2弾は『その悩み、 広背筋で背負います』で、その次は『その悩み、起律筋で支えます』。『上腕二頭筋で持ち上げます』でもいいですね（笑）。あらゆる筋肉を駆使して、みなさんの相談に応えていければと思います。

■書籍情報
『その悩み、大胸筋で受けとめる　棚橋弘至の人生相談』
棚橋弘至 著
発売日：12月20日
価格：1650円
出版社：中央公論新社