【ライトノベル最新動向】数学、キャンプと合体したラブコメ、古典的名作新装版など盛りだくさん 10月発売ラノベを徹底解説
ライトノベルを代表する人気シリーズの新刊も相次いで登場。10月7日発売の川原礫『ソードアート・オンライン27 ユナイタル・リングVI』(電撃文庫)はシリーズの正統な続編で、オープンVRMMO《ユナイタル・リング》攻略というテーマを軸にキリトたちの戦いが進んでいく。衣笠彰梧『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8』(MF文庫J)も10月25日に登場。体育祭、文化祭といった行事をこなして進む展開の中で暗躍を続ける綾小路清隆の行く末やいかに。
10月15日発売の大森藤ノ『アストレア・レコード1 邪悪胎動 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』(GA文庫)は、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』を題材にしたアプリゲームに実装されたシナリオを原作者自ら小説化。本編ではその活躍と悲劇的な最期が語られる「アストレア・ファミリア」のメンバーたちが、正義を掲げて悪と戦うストーリーを堪能しつつ、ファミリアへの思いを強めたい。
暴力と退廃を感じさせる作風で根強い人気を持つ江並光則のシリーズにも、3年ぶりの最新刊が登場。10月18日発売の『デスペラードブルースⅣ』(ガガガ文庫)で、一家惨殺事件を一人だけ生き延びた筧白夜が、神座市を舞台にした一族間の抗争の中で、家族を殺した犯人を捜して彷徨う姿が描かれていく。殺人カラテを使うという白夜の戦いぶりや、表紙に描かれた2代目フェアレディZの走りっぷりが今から気になる。
アニメ化が決まっている竹町の『スパイ教室』シリーズからは短編集『スパイ教室短編集03 ハネムーン・レイカー』(ファンタジア文庫)が10月20日に発売。スパイ学校の落ちこぼれ少女たちによるチーム「灯」とは逆に、エリートたちが集まったチーム「鳳」と「灯」との交流が振り返られる。「鳳」の“その後”を知る人には涙なくしては読めなさそう。
甲田学人の『Missing』シリーズや紅玉いづきの『ミミズクと夜の女王』など、過去のラノベ作品を刊行し直しているメディアワークス文庫から、ラノベの古典的名作とも言える高畑京一郎のデビュー作が、『新装版タイム・リープ あしたはきのう』として上下巻で10月25日に発売。高校二年生の鹿島翔香をヒロインにして、時間を移動する不思議な現象を解き明かしていくSFストーリーとなっている。佐藤藍子主演で今関あきよし監督によって実写映画化もされたこの作品。新装版の登場を機にアニメ化となれば往年のファンは喜び、新しいファンも惹きつけられること確実なのだが。
『悪魔交渉人』シリーズの栗原ちひろによる新シリーズ『殺し屋ダディ』(集英社オレンジ文庫)は、急逝した殺し屋のボスが握っていた情報を、ボスの息子から引き出そうとして2人組の殺し屋が悪戦苦闘する話。スパイと殺し屋がエスパーの少女を育てる人気漫画『SPY×FAMILY』のようなドタバタとした日常と、一転してハードなアクションを楽しめそうだ。10月20日発売。
流行りの後宮物にも新作が登場。10月15日発売の岡達英茉『後宮の黒猫金庫番』(富士見L文庫)は、ヒロインの月花が没落貴族で貯金は趣味、特技は商売という独特の設定。戸部尚書という高官の偉光と見合いをして気に入られたことから、新しい場所で特技を生かした活躍を始める。これも一種のラブコメに経済知識をミックスしたハイブリッド作品と言えるかも。