声優・石見舞菜香×DREノベルス編集長・小原豪が語る、動画「出版・アニメ業界の裏側」の狙い

20万再生超え!「アニメ化決定までの流れ」から思うこと

――アニメ業界は石見さんも大変お詳しくいらっしゃると思いますが、そんな石見さんが驚いたネタはありますか?

石見:「アニメ化したとき原作者はどこまで関わる?」という動画です。私たち声優はオーディションを経てキャスティングいただく……という流れが一般的なのですが、そもそも原作者さんはアニメ制作にどこまで関わっていらっしゃるのかな? と私自身も気になっていたので、勉強になりました。私のようにアニメ業界と密に仕事をしている人でも知らないネタがたくさん登場するので、毎回新しい発見があって面白いです。

小原:実は、「アニメ化決定までの流れ」の動画を投稿した時に、視聴者さんから、原作者はアニメ化にどれくらい関わるのか? という質問を多くいただきまして。それがきっかけで誕生した動画なんです。視聴者さんからの質問に答えられた、つまりコミュニケーションが成功したという面でとても思い出深い動画です。

――確かに20万再生を超えていて、大きな反響を呼んでいますよね。

石見:「アニメ化決定までの流れ」も本当に驚きです。私たち声優が作品に関われるのって、1話につき半日から1日くらい。けれど、実はもっともっと長い年月をかけて、その作品は温め続けられてきたんですよね。その壮大なプロジェクトに関わらせていただいているんだと思うと、改めて作品をもっと大切に、そしてしっかりと向き合わなければと一層力が入ります。

――今度、TikTokでトライしたい企画はありますか?

小原:印刷所や取次倉庫の工場見学をやりたいです! 自分たちが普段手にする漫画やライトノベルがどのような工程を経て書店まで届くのか……。本当にたくさんの人の関わりがあって出版業界が成り立っているので、その裏側をお届けしたいです。

石見:工場見学が動画で、しかもTikTokで見られるなんてすごい貴重ですよね。やってみたいです!

10月7日創刊「DREノベルス」注目の3作品とは

――ここからは、10月7日創刊のライトノベルレーベル「DREノベルス」についてお伺いできればと思います。注目3作品のあらすじと見どころを教えてください。

小原:まず『婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。王子殿下に溺愛されて幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。』(櫻井みこと)からご紹介しますね。

 主人公は、婚約者の顔を立てるように控え目に生きてきた、努力家の令嬢・アメリア。だけど、そんな彼女が婚約者に裏切られてひどい仕打ちを受けるところから物語が始まるんです。その後、アメリアは第四王子サルジュ殿下に見初められて、窮地を救われると。

 傷心から始まる、究極の溺愛ラブロマンスなのですが、アメリアはサルジュによって、初めて自分が陰ながら努力してきたことが正当に評価される経験をするんです。そして、最初はひどい仕打ちを受けていたけれど、周囲の人たちにも段々と認められていく……。この過程が読んでいて本当に嬉しくなる、そんな作品です。


――サルジュはまるで王子様のような、夢のようなキャラクターですね。

小原:サルジュは実は研究肌な一面もあるんですよ。同じ魔法学園に通うサルジュとアメリアが、共通の研究の話題でキャッキャ盛り上がっているところもすごく微笑ましいんです(笑)。ぜひ2人の関係性にも注目してほしいです。

――石見さんはPVでアメリア役を担当されていますが、演じてみていかがでしたか?

石見:収録当日は、サルジュ役の島﨑信長さんと一緒に掛け合いのシーンが収録できたので、よりアメリアとサルジュ、それぞれのキャラクターのイメージがしやすかったです。

 二人が少しずつ甘い空気になっていく……というシーンを演じさせていただいたのですが、それこそ最初はアメリアもサルジュも両方しっかりしているタイプだと思っていたんです。でも、魔法研究の話題になると、子供っぽいくらいはしゃいだり、テンションが高くなっちゃう(笑)。実際に演じていると、そんなアメリアとサルジュのキャラクターがとっても微笑ましくて感じられて。現場でもPVの完成が楽しみだねなんて話で盛り上がりながら、アフレコをしていました。

――作品はもちろんですが、PVも必見ですね!他はどのような作品があるのでしょうか。

きっと何年経っても、何度もあなたに恋をする【石見舞菜香×島﨑信長】

小原:2作品目が『99回断罪されたループ令嬢ですが今世は「超絶愛されモード」ですって!? 〜真の力に目覚めて始まる100回目の人生〜』(裕時悠示)という作品です。

 主人公は、何度も無実の罪で処刑されてはループしていて“悪役令嬢”扱いされているアルフィーナ。けれど、ループし続けて100回目の人生をスタートした時に強大な魔力に目覚めてしまう。しかもその魔力が、周囲の人間の心の声が聞こえるようになってしまうというもの。

 そうなると、今までループしてきたなかで、冷徹だなと思っていた王子が実は自分のことを愛していたとか……。各キャラクターの外見と内面のギャップに気づくんです。このギャップが面白くてギャグコメディとして楽しめる作品になっています。加えて、アルフィーナの逆転劇。ギャグだけではなく、しっかりとカタルシスを感じる作品になっているのでぜひ読んでほしいです。


――溺愛系、悪役令嬢系ときましたが、最後はどんな作品なのでしょうか?

小原:『余命半年と宣告されたので、死ぬ気で『光魔法』を覚えて呪いを解こうと思います。 ~呪われ王子のやり治し~』(熊乃げん骨)という作品で、もうタイトル通りですね。余命半年の呪いを受けた第三王子のカルスが、なんとか生き残るために光魔法を習得しようと頑張るんです。

 そんな懸命な彼を支えようとする周囲の人がすごくあたたかい。読者さんも同じように優しい気持ちでカルスを応援したくなるんじゃないかなと。あと、カルスだけが持っているとある能力や呪いの謎。そういったファンタジーとしての奥深さがあるところも魅力です。

強みはコンテンツの価値を最大化できるところ

――ライトノベルレーベル「DREノベルス」の強みや、今後の展開を教えてください。

小原:ドリコムメディアは「DREノベルス」だけではなく、漫画は「DREコミックス」、webtoonは「DRE STUDIOS」、映像化などのメディアミックスなら「DRE PICTURES」と、複数のレーベルがあるからこそ、オリジナル作品の創出から全方位でのメディアミックスまで自社で展開できるんです。一つのIPを小説だけ、漫画だけ……でストップするのではなく、コンテンツの価値を最大化できるところが強みだと思っています。

――先ほどご紹介いただいた3作品がwebtoonはもちろん、映像化される可能性もあるということですね。

小原:そうですね。先ほどご紹介した3作品に関しては、既にコミック化されることが決定しています。

――作品の方向性はいかがでしょうか? 創刊3作品は、溺愛系、悪役令嬢系、余命系と、ライトノベルの王道で勝負に出た印象を受けました。

小原:基本的には面白い作品を作りたい、という気持ちが根底にあります。ライトノベルって、レーベルによっては男性向け・女性向けで分かれていることがあるのですが。男性、女性関係なく、面白いと感じた作品はどんどん出していきたいなと思っています。

――最後に、「出版・アニメ業界の裏側」をご覧いただいている方に向けてメッセージをお願いいたします。

石見:「出版・アニメ業界の裏側」は、出演させていただいている私自身も勉強になったり、面白いことばかりです。動画をご覧いただいている方には、ぜひ業界の裏側に興味を持っていただいて、一緒に勉強していけたらなと。これからも見てください!よろしくお願いいたします。

小原:10月7日創刊の3作品はぜひ読んでいただけたら嬉しいです! また、これまでライトノベルにあまり興味がなかった人も、ぜひ一度書店で売り場に足を向けてみていただけたらありがたいです。

■参考
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