『南国少年パプワくん』作者・柴田亜美 パプワくん秘話とダウンタウン松本との神すぎるエピソード

殻がピンクのカタツムリとは、『南国少年パプワくん』に登場するキャラクター“イトウくん”のことだ。(C)柴田亜美


――ものすごく納得しました。やはり幼少期に見たものって、感性に影響を及ぼすんですね。その後、出身地の長崎に戻られるわけですが、長崎の風土からも影響された部分はありますか。

柴田:長崎も異国情緒ある町なのでカラフルだったんですよね。お寺の壁も真っ赤ですし。それに、教会があちこちにあって、異なる文化が入り乱れているのが良かったです。

――高校時代まで長崎で過ごされ、その後、東京の武蔵野美術大学短期大学部を卒業されています。当時は画家になろうという思いはなかったのでしょうか。

柴田:学生時代は古典的な人物画などを描いていましたね。実は、同級生に現在は写実画家として注目されている諏訪敦くんがいたのです。彼は物事の内面に迫る絵を描く人だと思うのですが、在学中から物凄く上手かったんですよ。10~30年に1人の逸材と言われるような人が身近にいたら、画家になろうなんて思えませんよね(笑)。

――卒業後は広告会社でイラストレーターとして活動されています。

柴田:高校生のときに、音楽系の漫画雑誌『8ビート・ギャグ』で漫画家デビューしていました。漫画やイラストは描き慣れていたので、広告会社の仕事にスムーズになじめたんですよね。その後、漫画家になったわけですが、こうした経験を積んだおかげで画家としてデビューできたと思っています。

頭の中に浮かんだイメージを絵にする

――柴田先生は神獣や霊獣を描かれることが多いですね。

柴田:せっかくなら好きなものを描こうと思って、大好きな妖怪や神獣を選んでいます。もともと社寺仏閣の彫刻を見に行くのも好きでしたが、画家として活動するようになってからは積極的に足を運ぶようになりました。獏を描くときには獏の彫刻がある渋谷の金王八幡宮に出かけたり、狛犬なら目黒不動尊に出かけたりしました。

――絵のテーマを考えるときは、悶々と部屋にこもって考えたり、もしくは神社などに赴いて何枚もスケッチを描いたりするのでしょうか。

柴田:テーマを決めるときは基本的に閃きなんですよ。悩みぬいて考えるのではなく、朝起きた時に「これを描こう!」とテーマが1点、決まるんです。今度の展示会に向けて“九尾の狐”を描こうかな…といった塩梅に、降ってくる感じですね。そして、目をつむると、頭の中に色味や模様が万華鏡のように表れてきます。こうした頭の中のイメージをキャンバスにぶつけているんですよ。思いつきといえば、『南国少年パプワくん』に登場する生物だって、一発描きでデザインを決めているんです。

――えっ!? そうなんですか?

柴田:例えば、鼻血ブースケなんか、本当に思いつきなんですよね。イトウくんや、シミズくんなどもそうです。悩んで考えたのではなく、直感の一発描きで決めたデザインなので、どうやって思いついたのかは私にもわかりません。でもシンタローとか、かっこいいお兄さんは、ちゃんと少年漫画を研究したりしてキャラクターデザインをしたんですよ。頭の中に浮かんだものを描き出すのが私の絵のスタイルなので、画家としてはまだ一枚も人物画を描けていません。売ることを考えたら、描いたほうがいいんでしょうけれどね(笑)。

――使用している画材について教えてください。

柴田:アクリル絵具が中心です。美大の頃は油絵具も使っていましたが、アクリル絵具は速乾性なので便利なんですよね。呉竹さんの筆ペンも使っています。顔料が良くて、キャンバスにのるのでいいんですよ。

――漫画で培った技法や表現が、絵にも生かされていることはありますか?

柴田:横長の特注サイズの絵は、少年漫画の見開き扉絵の構図を活かしたものが多いですね。ただ、漫画はビジネスの要素も強いですし、ストーリーから構図まで担当さんと綿密に打ち合わせをするので、テレビの番組づくりに近いと思います。絵は1人で作品に向き合うので、孤独な作業だと思います。

画家・柴田亜美の今後の活動に注目!

――柴田先生の絵は、漫画のファンの方も買い求めているのでしょうか。

柴田:意外にも、漫画のことを知らない絵画コレクターや海外の方にご購入いただいています。ご年配の方にもオーナーになっていただいていますね。私はほとんどのオーナーの方とお話をしたことがないので、どんな気持ちで買われるのかまではわからないのですが、評価をいただいているのは本当にありがたいことだと思っています。

――最後に、今後の展示会などの情報やメッセージなどをいただけますと幸いです。

柴田:今は12月に行われるアートイベントに向けてに向けて絵を描いています。私の漫画を読まれた方も、ぜひ足を運んでいただけると嬉しいです。今は1点ものの絵ですが、ゆくゆくはシルクスクリーンなども出していきたいですね。とはいえ、まだまだ絵を描き始めたばかりなので、枚数がたまっていません。ある程度の枚数を描いたら、ゆくゆくは画集も出したいと思っています。漫画家としても、画家としても、応援よろしくお願いいたします。

柴田亜美の絵画作品を販売する画廊のサイト

https://www.book-komiyama.co.jp/booklist_feature.php?feature=333

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柴田亜美
長崎県出身。『南国少年パプワくん』『ジバクくん』『PAPUWA』など多くの作品はTVアニメ化され、これまでの著書は累計発行部数2,000万部を超えている。2021年には「KOMIYAMA TOKYO」から画家としてデビューした。

画像提供=柴田亜美

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