『南国少年パプワくん』作者・柴田亜美 パプワくん秘話とダウンタウン松本との神すぎるエピソード

『ポッペンを吹く南国少年』 (C)柴田亜美

 1990年代の少年漫画の傑作『南国少年パプワくん』で知られる、漫画家の柴田亜美。漫画家としてヒットを飛ばす一方で、美容家としても活動し、近年はテレビ出演やYouTubeチャンネルを開設するなどマルチな才能を発揮している。

 そんな柴田だが、なんと2年前からは画家としても活動しているという。深掘りして話をうかがったところ、画家としてデビューする経緯はとてつもなく興味深すぎるものだった!

画家になるきっかけはダウンタウン松本人志!?

――『南国少年パプワくん』など、柴田亜美先生の漫画は子どものころに何度も読んだ思い出の作品なのですが、現在は画家として活動していると聞いて驚きました。画家を志したきっかけをお聞きしたいです。

柴田:コロナ禍が始まる前、2020年の2月に、六本木一丁目で偶然ダウンタウンの松本人志さんをお見かけしたんです。そのとき、「この人の番組に出ることができたら、絵を描いて個展を開こう」と、浮かんだんです。そんなことを漠然と考えていたら、数ヶ月後、なんと『ワイドナショー』から出演のオファーが来たのです。

――ええっ!? そんなことってあるんですか?

柴田:さすがに私も「わ~っ!」と驚いてしまって、「これは絵を描かねば!」と思ったんです。しかも、その直後に、7年ぶりくらいに連絡をしてきた知人に話をしたら、「絵を描くなら画廊のオーナーの知り合いがいるから、紹介しようか?」と言われたんですよ。

――知人の方も絶妙なタイミングで登場されたのですね。

柴田:「とりあえず10号のキャンバスに描いてみて」と言われたので、1枚描いて見せたら、想像以上に良いと評価されたんです。それが、『南国少年パプワくん』に登場するナマヅメハーガスをアレンジした『妖怪化け鯰』という絵でした。そして、2021年の6月、「REAL TOKYO ART」という展示会で、画家としてデビューしました。

『獏』(C)柴田亜美


――柴田先生は漫画家としての実績がありますが、異なる分野の絵の世界で、実質1年弱でデビューに繋がったのが驚きです。それにしても、松本人志さんって人の潜在的なものを引き出す不思議な力があるんですね。

柴田:外で松本さんを見かけたのは2回目だったのですが、初めて見たときは、絵を描こうなんて思わなかったので、あのときはいったい何があったんでしょうね。思えば、2020年には他にも不思議なことがありました。5月にベランダにアガベを植えたら8月に花が咲いたんですが、庭師の知り合いに言わせると、50~100年に1回しか花が咲かないらしく、すごく珍しいそうなんですよね。そして、花が咲いた数日後に『ワイドナショー』のオファーが来たんです(笑)。

――すべての出来事が運命的としか思えません!

柴田:それに、2020年はコロナ禍で家に引き籠もる時間が多かったので、絵画制作に取り組む時間がとれたのも大きかったですね。いろいろな出来事が繋がって今に至っていると感じます。

独特の色彩感覚はアメリカと長崎の影響

――柴田先生の絵を見て、目を引くのは独特の色彩感覚です。思えば『南国少年パプワくん』でも、パプワ島の“生物(ナマモノ)”も一度見たら忘れられない色使いをしていますよね。こうした色彩感覚が育まれたルーツはどこにあるのでしょうか。

柴田:一番の影響は、父の仕事の関係で幼少期に海外で生活したことだと思います。2~3歳の時にアメリカ、5歳までカナダで暮らしました。その頃に見たセサミストリートの赤、水色、黄色といった色鮮やかなキャラクターは、私の色彩感覚にすごく影響を与えていると感じます。

――確かに、あの派手な色使いは日本にはない感覚だと思います。

柴田:向こうのものって、ポップコーンなどのお菓子とか子ども用の玩具まで鮮やかな色使いで、しかも模様まで独特なんですよ。例えば、蛇のぬいぐるみは白地にオレンジの縞々、亀のぬいぐるみはピンクの甲羅にマーガレットの造花が咲いているファンシーでファンキーなものでした。子どもの頃にこんな色彩を見ていなければ、カタツムリの殻をピンクにしようとか思わないかもしれない(笑)。見えるがままに、殻を茶色に塗っていると思いますよ。

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