女の園の星、スキップとローファー、デデデデ……今どき女子高校生の日常は漫画でどう描かれている?
待望の第3巻発売と共にアニメ化が決定した『女の園の星』が大きな話題を呼んでいる。星先生や小林先生といった先生たちによる少し可笑しな日常が魅力的な本作であるが、まさしく“女の園”に通う個性豊かな女子高生たちの存在も欠かすことできないだろう。
『女の園の星』をはじめ女子高生という立場のキャラクターが物語に多く登場し、彼女たちの日常が描かれる作品は多い。それぞれの作品で女子高生たちやその日常はどのように描かれているのか。本稿では女子高生の日常が描かれる作品の一部を紹介しながら上記の問いについて考察したい。
『女の園の星』
『FEEL YOUNG』(祥伝社)で連載が開始されてからさまざまなメディアに取り上げられ、SNSの投稿や口コミも通じて注目を集め続けている『女の園の星』。女子校を舞台に先生や女子生徒たちの日常が描かれる作品だ。
職員室での星先生と小林先生の雑談や、大人の雰囲気が漂う中村先生の不思議な私生活など、キャラクターの濃い先生たちと共に描かれる女子高生たち。丁寧な星先生に「敬いすぎ」と話したり、先生の家で飼っている犬にタピオカと名付けたり、職員室にバズーカ砲型のクラッカーを持ち込んだりなどーー。先生たちに負けないほど個性のつよい女子高生たちが登場する。
そんな彼女たちのデティールの細かさも本作の魅力として挙げられるだろう。「1時間目(第1話)」にて机で突っ伏して眠る女子生徒・香川さんの姿が描かれるが、彼女の靴は脱げソックスも少々脱げかけている。細部からもこだわりを感じる描写は、ユーモアあふれる女子高生たちがまるで現実に存在しているかのようなリアルさを感じさせるものであろう。
そんな本作において「10時間目」は自習中の教室を舞台に、数多くの女子生徒がそれぞれに過ごすひとときが描かれる。自由な環境をいいことに各々が個性的な行動を繰り広げる様子は本作に登場する女子高生のユーモアとリアルさを感じることができる1話となっている。
『スキップとローファー』
「マンガ大賞2020」では3位にランクインし、『女の園の星』と同様にアニメ化も決定した『スキップとローファー』。本作の舞台は男女共学の高等学校であるものの、主人公である女子高生・岩倉美津未を中心として彼女と交流する多くの女子生徒が登場する。
高校進学を期に石川県の田舎町から東京へ引っ越してきた美津未は入学式の開始直前に出会った男子生徒・志摩聡介や同じクラスとなった江頭ミカなど、中学時代までとは異なる人間関係を築いていく。美津未やそれぞれの心情や価値観を抱くキャラクターたちが交流し、互いに影響を及ぼしながら変化していく様子が描かれる作品だ。
成績優秀でありつつも空回りすることが多い美津未や人間関係に悩みつづけてきたミカ、生徒会活動に精を出すも生徒会長にはなれなかった高嶺十貴子など、本作に登場する多くのキャラクターは魅力的な一面と共に不器用な一面も描かれる。
自分の魅力よりもコンプレックスとなる部分は目につきやすいものであろう。そんな自身の不器用さに悩むキャラクターたちの魅力に気づき、その魅力を伝えてくれるのは紛れもなく他の登場人物たちである。
自身に対し悩みを抱きやすい時期に、お互いに気づかせ合い、救い合い、影響を与えながら日々を積み重ねていく。そんな彼女たちの日常は読者にとっても救いであると感じる。