【ゴルゴ13】さいとう・たかを亡き後の新連載『Gの遺伝子 少女ファネット』さいとうプロはレアな女性主人公をどう描いたか

 日本を代表する劇画『ゴルゴ13』は、2021年に作者のさいとう・たかをが亡くなった後も、その意志を受け継ぐさいとうプロによって連載が続いている。そして、7月15日に発売された『ビッグコミック増刊8月17日号』(小学館刊)で、新たにスピンオフ作品の連載が始まった。“ゴルゴの遺伝子”を持つ少女、ファネットを主人公とした『Gの遺伝子 少女ファネット』だ。

 昨年、さいとう・たかをの存命中に連載が始まった『銃器職人(ガンスミス)・デイブ』に続く『ゴルゴ13』の公式スピンオフ第2弾である。そして、さいとう氏の死後にさいとうプロが初めて手掛ける新連載ということもあって、目が離せない作品だ。

さいとう作品の女性は美しい

 ファネットは『ゴルゴ13』の本編の第562話「Gの遺伝子」にも登場していたのだが、満を持して主人公に抜擢となる。フランス・パリのサン・リュカ中学に通う中学生で、金髪で青色の制服をまとう。射撃部に所属し、その腕前はオリンピック級。そして部活動がない日は父の病院で通訳のボランティアを務め、IQ180という頭脳をもち、心優しい性格だ。才色兼備な女性として、同級生たちからも羨望の対象になっているようである。

 注目したいのは、さいとうプロの作品で久しぶりに女性が主人公になったことだ。『無用ノ介』『鬼平犯科帳』『オペレーションG.G.』など男性主人公が圧倒的に多い中で、今回のキービジュアルは目を引くものがあったし、筆者はとても嬉しかった。というのも、『ゴルゴ13』には美しい女性が多く登場するし、さいとう・たかをの描く女性には魅力的なキャラクターが多い。個人的に思い出深いのは、第412話「イングリッシュローズ」に登場する元英国皇太子妃のダイアンだ。

 女性を描いているのはさいとうプロのスタッフともいわれているが、ファネットのように強い意志を感じさせる目力をもつ女性像は、さいとう・たかをの劇画の様式美として確立されていると言っていい。キービジュアルに描かれた、制服姿で銃を構えるファネットの絵からは、ゴルゴを彷彿とさせる気迫が感じられる。対して、白衣をまとっているファネットの姿は何よりかわいい。それでいて、入院する患者から提示された難解なパズルをあっさりと解いてしまうほど、頭脳明晰な一面を見せる。こうした性格のギャップがファネットの魅力だし、キャラクターの作り込みが上手いのはさすがである。これからどんな活躍を見せてくれるのか、楽しみだ。

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