伝説の再始動に祝福をーー『ベルセルク』連載再開で考える、三浦建太郎という“漫画絵の到達点”

三浦建太郎の絵は日本の“漫画絵”の到達点の一つ

 先ほど私は、今回の「新作」に対して「絵の面で多少の違和感はある」と書いたが、そもそも「三浦建太郎の絵」とはいったいどういうものなのか、ということを改めて考えてみたい。それには以前、私が別の場で書いた文章を引用するのがいいかもしれない。

(前略)原哲夫の劇画的リアリズムと、大友克洋のバンド・デシネ的リアリズム、それに永井豪のケレン味と少女漫画の繊細さを兼ね備えた、三浦ならではのヴィジュアル表現は、日本の“漫画絵”の到達点の一つだと言っていいだろう。
――島田一志「『ベルセルク』三浦建太郎が漫画の世界で切り開いたもの」(nippon.com)より

 いまでもこの考えに変わりはないが、やや補足するなら、こうしたいくつかの要素を合体させようと頭で考えるのは簡単だが、実際に“自分の絵”としてまとめ上げるのは至難の業である、ということだろうか。また、「原哲夫」を「ニール・アダムス」、「大友克洋」を「メビウス」という名に差し替えてもらってもかまわない。

 いずれにせよ、こうした偉大な先人たちの魂を受け継ぎながらも、最終的に三浦は三浦にしか描けない凄みのある絵を生み出した。そしてその魂は、きっとスタジオ我画の6人にも受け継がれているはずだ。伝説の再始動を、心から祝福したい。

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