【漫画】持病でポーチが手放せない少年、なぜ体育祭でヒーローに? コンプレックスの反転を描いた創作漫画が話題

――現在の制作状況を教えてください。

びっくりした:別名義で絵と映像の仕事をしています。フリーランスですので、スケジュールを調整しながら、原稿に割く時間を作っています。

――絵を描くようになった時期は?

びっくりした:絵を描きはじめたのは17歳です。漫画を描き始めたのは20歳からと結構遅めです。これまでは「他人に喜んでもらえる作品を」と思っていましたが、ここ最近は「そろそろ自分のために作品を作ってもいいかも」と本腰入れて漫画を描き始めました。

――『ポーチが取れない少年の話』制作の経緯をお聞かせください。

びっくりした:どうしようもないコンプレックスと存在意義の話を描きたいなと思って制作しました。「コンプレックスを何にするか」というセンシティブなところで一番迷いましたが、「シルエットで分かるものがいいな」と思いポーチをつけました。

――安井というキャラはどのように作り上げたのですか?

びっくりした:SNSで容易に人と自分を比べることができる時代ですので、僕自身も含めて、コンプレックスを抱えて生きている人間は多いです。努力したところでどうにもならないこと、みんなと同じはずなのに自分にはできないことが確かにあります。だからといって、諦められるほど大人にもなれない。「そういう葛藤を表現したい」と考えた結果、安井というキャラクターができました。

――徒競走で倒れた生徒に対して安井が応急処置するシーンが、本作のクライマックスになっていますが、リアリティがありますね。

びっくりした:このシーンを描くために、ネットでいろいろ情報収集した上で、行きつけの病院の先生に取材しました。「徒競走に出るとして目の前の子が熱中症で倒れたらどうしますか?」「その子、今にも吐きそうなんですよ。手元になんでもあるとしたら何しますか?」と。矢継ぎ早に聞いてしまい、失礼しましたと謝りました(笑)。

――応急処置だけでなく、気分の悪さをケアするために「飴玉」まで“処方”する演出が粋でした。

びっくりした:「中学生ならこっそりお菓子くらいは学校に持ってきてるのでは?」と思って付け加えました。あと、保健室の先生が僕が吐いた後に飴玉をくれた、という経験も影響したのかもしれません。

――最後に今後について教えてください。

びっくりした:たくさん漫画を世の中に出せるように頑張ります。Twitterを中心に更新していくので、読んでいただけると嬉しいです。

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