【漫画】連載デビューはどれだけ難しい? “夢を諦めるまで”を描いたエッセイ漫画が切なくも美しい

「夢を諦めたわだかまりが溶けた」

――『漫画家アシスタント物語』制作の経緯をお聞かせください。

つる:そもそも、当時のことをエッセイ漫画にしたいとはずっと思っていましたが、「今じゃないな~」と何度も描かずにいました。ただ、月日が経ち、子どもも生まれ、別の形の幸せを感じることができ、ようやく描く気が起きました。“過去のこと”として当時の心境や出来事などを描き、やっと夢を諦めた悔しさやわだかまりが溶けた気がします。

――過去の辛かった出来事も思い出す必要があり、大変だったと思います。

つる:はい。最後の数話は「夢が叶わないかもしれない」という現実に気づき始める部分で、当時苦しかったことを思い出し、やはり筆が進みませんでした。Twitterに掲載するため1話を4枚に収めるように描いていたのですが、「夢を諦める辛さはこんなものじゃない」と思いながら、なんとか4枚に収めました。当時の全てを描くことはできなかったですが、試行錯誤しながら本当に描きたいメッセージは入れることはできたかと思います。

「寝ない=頑張っている」ではない

――これまで携わってくれた方への感謝、またこれから漫画家を目指す人へのメッセージなど、様々な思いが込められた作品でしたね。

つる:漫画家を目指す中で尊敬できる人に沢山出会いました。漫画家になれなくても「夢を追った意味があった」と思えるのは、この漫画に登場した人たちから、漫画に限らず好きなものに対する信念のようなものを教わったからです。ぽんちゃんや副編集長さん、M先生などのエピソードは、私が受け取ったものを読者の方にも届けられたらと思って描きました。

 「漫画家になれなかった私が言っても……」というところはありますが、「あの時の自分は本当に頑張ったな」と胸を張れるくらい悔いなく頑張ってほしいと思います。夢が叶わなくても頑張った時間は自信につながります。ただ、ぽんちゃんともよく反省していたのですが「寝ないで描く=頑張っている」ではありません。生活が崩れると生産力も下がるため、睡眠と食事はしっかりとってほしいです。

――これからはどのように制作活動を行う予定ですか?

つる:今は自分のブログやTwitterで自身の経験を描いたエッセイ漫画や絵日記を描いています。マイペースに漫画を描けることに幸せを感じていますが、今回思いがけず沢山の方に自分の漫画が読まれ、共感や応援のコメントをいただき胸がいっぱいになりました。「いつか自分の描いたものが書籍化されたら」なんて夢をぼんやり見ながら、また漫画を描き続けようと思っています。

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