ぜんぶ君のせいだ。今この瞬間の“かわいい“を詰め込んで……征之丞十五時×个喆『くぅーあぃ』の輝き

 4月3日、病みかわいいをビジュアルコンセプトにするユニット“ぜんぶ君のせいだ。(以下、ぜん君。)“が、また大きな転換期を迎えた。この日に開催されたTOKYO DOME CITY HALLでの単独LIVE~絵空事現~をもって、征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)と甘福氐喑(あまねち あん)が脱退したのだ。

 それぞれ加入から征之丞十五時は約3年、甘福氐喑は約1年半。そう聞くと短かすぎる時間に感じるが、彼女たちはこの混乱の時期も止まることなくツアーを続けてきた。その距離、なんと47都道府県を2周するというから驚きだ。

 そんな精力的に活動を続けてきた彼女たちが去るのは寂しいこと、この上ない。だが、その別れはとても爽やかで、まさに新たな旅立ちといった雰囲気だ。そんなタイミングで手にとってほしい1冊がある。それは征之丞十五時がメンバーの个喆(こてつ)と共に2月16日にリリースしたフォトブック『くぅーあぃ』だ。

征之丞十五時 / 个喆 PHOTO BOOK『くぅーあぃ』

 ぜん君。は、昨年7月7日にオフィシャルブック『EsEgo』(エスエゴ)を発売して以降、如月愛海(きさらぎめぐみ)のオーディオドラマ付きノベル『縁罪』、甘福氐喑のフォトブック『Hyper ill Pop』、雫ふふ(しずくふふ)の4コマ漫画『ぜん君。ちゃん』、如月愛海ともとちか襲(かさね)のフォトストーリーブック『朧』……と、積極的に書籍をリリース。ぜん君。というグループ活動とはまた違った角度から、1人ひとりの個性や魅力を、あるいはコンビの関係性にスポットライトを当ててきた。

 その最新作品でもある『くぅーあい』は、「おやこて(おやつとこてつ)」の愛称でも親しまれる征之丞十五時と个喆のコンビによるフォトブック。この2人が揃えば、通常“病みかわいい“をビジュアルコンセプトとしているぜん君。も、“かわいい“に全振りする。そんな「おやこて」ならではの世界観が楽しめる1冊だ。

 おそらくタイトルの『くぅーあい』も中国語の「可愛(クーアイ=可愛い)」から名付けられたのだろう。パステルカラー、リボン、フリル、ぬいぐるみ、キャンディー、ドーナツ……と、ページをめくるたびに次々目に飛び込んでくる“かわいい“の要素たち。まるで精巧に作られたスイーツのようなやわらかく繊細な空間で、決して埋もれることのない「おやこて」のかわいさが際立つ。


 きっと、このフォトブックはタイムカプセルのごとく、開くたびに何度でも今年の春につれてきてくれるのだろう。“かわいい“は常に変化している。10年前の“かわいい“と今年の“かわいい“は全く違うだろうし、今年の“かわいい“と来年の“かわいい“は変わっていないように見えてもきっと違う。

 もしかしたら“かわいい“要素として登場するアイテムは、さほど変わらないように見えるかもしれないが、その色味や形、材質といった細部が少しずつリニューアルされて、新鮮な“かわいい“が生み出されていく。むしろ変化し続けることは、“かわいい“の維持とは切り離すことはできない。

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