【ONE PIECE考察】月に隠された秘密とは? 物語の行く末を占う、最重要キーワードを考察

 『ONE PIECE』の要所要所で登場する、「月」という言葉。現実では遠く特別な場所である月が、作中では時折身近なものとして描かれていた。

 名前に月の文字が入る一族が存在し、月を見て変化する種族がいる。かつての強敵は、壮絶な戦いの後に月への到達を果たした。『ONE PIECE』の世界において、月とはどのような存在なのか。今回は月が持つ意味について、ワンピース研究家である神木健児氏に話を聞いた。

「ワノ国関連で言うと、まずは黒炭家以外の大名家のすべてに月の文字が入っているんですよね。おでんやモモの助の一族である、光月家もその1つです。おでんが大好きで皮肉にもオロチも愛した、日和が得意とする曲の名は『月姫』でした。また光月家と同盟関係にあるミンク族は、ある条件を満たすと戦闘力が格段に上がります。彼らが『月の獅子(スーロン)』になるトリガーも、『満月を見ること』でした。現時点で進行中のワノ国編内でも、月の存在が度々示唆されているのです。

 そして鬼ヶ島の戦いでは、新たにルナーリア族と呼ばれる種族が登場します。彼らはどんな環境でも生きていける種族です。そのため名前から考えても、ルナーリア族が月に住んでいた、もしくは月に関係が深い種族である可能性は非常に高いでしょう。またルーナ(ルナ)はローマ神話に登場する月の女神です。他にもCP0のマハはシヴァの別名、ズニーシャの名前のモデルと想像できるガネーシャはシヴァの息子の名でした。ここにきて次々と神の名前が出てきているんですよね。なのでただでさえスケールの大きい物語を描いているワンピースですが、さらに壮大な物語、例えば青い星の枠から出て月や宇宙も関係してくる話が本格的に描かれる可能性もあるのではないでしょうか」

 『ONE PIECE』の作中には、自力で月に辿り着いたかつての敵が一人いる。

「作品全体で考えると、月と言われて1番最初に思い浮かぶのはエネルですよね。空島で神として君臨していた彼は、方舟マクシムで月に到達しました。エネルがそこで発見した壁画は、やはり月について考えるうえでの超重要ポイントでしょう。壁画に描かれている人物との共通点があまりにも多すぎるので、空島の住人は元々月の民と関係が深いと考えて間違いないと思います。月の古代都市とエネルの故郷である空島『ビルカ』が同じ名前であることも、仮説の信憑性を高めました。各々の特徴を照らし合わせると、翼の向きや被り物の違いがそれぞれ『神の軍団』『シャンディアの民』『スカイピアの住人』と合致しています。そのため彼らが月からの来訪者である可能性は非常に高く、それだけでも月との近い関係性が感じられました。

 また扉絵『エネルのスペース大作戦』では、卓越した科学力を持つツキミ博士も登場します。実は彼はベガパンクと同じ、未来国バルジモアの出身なんですよね。ベガパンクとツキミ博士には、居住地が『からくり島』と『カラクリ島』であったり、ハイレベルな人型ロボットを製造していたりと、多くの共通点があります。物語が終幕に向かう中、ベガパンクの正体が明かされるときも近いでしょう。エネルも何かしらの形で必ず出てくると思うので、そのタイミングでツキミ博士とベガパンクの関係性も明かされるかもしれません」

 月に関して言えば、ファンの間では物語の根幹に触れる、ある考察が長年囁かれている。

関連記事