なにわ男子・道枝駿佑主演で映画化『今夜、世界からこの恋が消えても』躍進のラノベランキング

 発売されたばかりの新刊や、まもなく発売となる人気シリーズの最新刊が上位に来ることが多いRakutenブックスのライトノベル週間ランキングで、2月7日~13日の週に2位となったのが、第26回電撃小説大賞でメディアワークス文庫賞を受賞した一条岬による『今夜、世界からこの恋が消えても』(メディアワークス文庫)。2020年2月発売だが、「なにわ男子」の道枝駿佑が主演を務めて映画化されることが発表となったことでランクインした。

 下川という男子生徒へのいじめが続いていた高校のクラスで、下川をかばった同級生の神谷透にいじめの主犯格が強要したのが、特進クラスにいる日野真織という女子に告白すること。透は受け入れられるという気などまったく持たず、淡々と真織に告白したらなぜかオッケーの返事をもらってしまった。

 ただし3つの条件がつけられた。1つ目が、放課後になるまではお互いに話しかけないこと。2つ目が、連絡のやり取りは出来るだけ簡潔にするというもの。そして3つ目が、真織のことを本気で好きにならないこと。告白を了解するだけでも不思議なのに、条件までつけてきた真織に何か感じるところがあったのだろう。透は条件を受け入れ「はい」と答えて、2人は付き合うことになる。

 いじめの主犯格も拍子を外された気がしたのか、いじめを止めてしまって後は透と真織の付き合ってはいても、本気にはなっていけない奇妙な関係が始まるが、そこに絡んできたのが真織と仲が良いい綿矢泉という女子。いたずらで付き合って真織が傷つけられることになるのが許せないといった態度から、綿矢の真織への百合めいた恋情が浮かんだが、そうではなかった。真織には透の知らない秘密があった。

 少年少女の初々しいラブロマンスにショッキングな事情が絡んで心を揺さぶり、涙を誘うストーリーは、「セカチュー」と呼ばれた片山恭一の『世界の中心で、愛を叫ぶ』(小学館文庫)や、「ぼく明日」と呼ばれる七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』にも描かれ、ベストセラーになった。どちらも映画化されて大勢の人を劇場へ誘った。

 「セカコイ」と名付けられた『今夜、世界からこの恋が消えても』も、真織のあるシリアスな事情に透の思いが絡んで、沈みがちになっていた真織の日々を明るく変えるストーリーに感動できる。同時に、無理だと思っていることでも、諦めないで思い続ければかなうかもしれないといった希望を得られる。

 ある事情から家出した透の姉の現状が明らかになる場面では、自分のやりたいことをやりぬく大切さを教えられる。たとえ他人からの嫉みを招いたとしても、人生は自分のものであり、やらないで後悔するなんてあり得ないのだ。そんな幾つものメッセージをくれて、底抜けの優しさに涙するストーリーにも浸れる小説。映画になったら溢れる涙で溺れてしまうかもしれない。

 映画の監督は『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『夏への扉-キミのいる未来へ-』の三木孝浩が務める。道枝駿佑とW主演で真織を演じる福本莉子は、第8回「東宝シンデレラ」グランプリの逸材で、5月公開の映画『20歳のソウル』でもヒロインを務めている。公開は7月29日だ。

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