『ONE PIECE』Dr.ベガパンクとは何者なのか? 物語の行方を占う、超重要人物の謎

 『ONE PIECE』はバトル漫画としてはもちろん、ファンタジー漫画としても多くの漫画好きに愛されている。「空に浮かぶ島」や「悪魔の実」など、本作には読者の胸を躍らせる要素が多く存在した。

 そして新たな技術の出現に伴い、必ずと言って良いほど登場する人物の“名前”がある。それが政府の天才科学者であるDr.ベガパンクだ。「悪魔の実を物に食べさせる技術」や「パシフィスタ」など、画期的な発明の裏にはいつも彼がいた。

 しかし作中の超重要人物である彼の姿形は、終幕の兆しをみせる現在も明確には描かれていない。そこで今回はベガパンクの正体や今後の展開について、ワンピース研究家である神木健児氏の見解を聞いた。

「謎が渦巻く『ONE PIECE』の中でも、ベガパンクほど要素が描かれているのに正体が明かされていないキャラはいないと思います。何度も名前が出ていて、故郷であるバルジモアの人たちは彼の優しさについて語っていました。そのためなんとなくの性格や雰囲気はわかっています。そして何よりも重要になるのが、彼は果たしてルフィたちの冒険にとって“良い人”なのか、それとも“悪い人”なのかという点です。裏がある世界政府に彼が協力している理由は、『嫌々従っている』『叶えたい想いのために従っている』『率先して協力する悪い奴』のどれかだと思うんです。ベガパンクはバーソロミュー・くまの『サニー号を守るようプログラミングしてほしい』という願いを、聞き入れています。またパンクハザードから出航したスモーカーやたしぎは、実験に使用された子供たちを連れてベガパンクのもとに向かっていました。くまの願いを聞いたり子供たちを治すであろう人物である面をみると、彼は“良い人”なんだと私は期待しています」

 ひととなりとともに気になるのが、ベガパンクの登場時期だ。神木氏は、彼がワノ国編で登場する可能性もあると話す。

「ルフィがカイドウに勝利し、ワノ国の問題が解決したとします。しかしスマイルに苦しめられた人たちがそのままでは、ハッピーエンドとは言えないのかもしれません。でもチョッパーやマルコでは、治せないと思うんです。もしかしたらそこで、ベガパンクが彼らを治しにやって来る展開があるかもしれません。そもそも今現在、彼がどこにいるのかも謎で。マリージョアでの描写の中で、会いに行った藤虎に対して緑牛は『長旅だったね』と口にしていました。なので世界の中枢ともいえるマリージョアやその近くの海軍本部などにはおらず、もっと遠い場所にいることが想像できます。すでに登場している意外な場所かもしれないし、いま麦わらの一味が進んでいる方向にある場所なのかもしれない。その場所も相当重要なのかなと感じています」

 常識では考えられない発明を次々実現させていくベガパンクは、今後どのような新発明を繰り出すのか。

「現在のルフィたちは四皇を2人同時に相手しており、相当な激闘の真っ最中です。これがラストバトルと言ってもいいぐらいの戦いだと思うんです。しかしワノ国編が終了した後、さらにインパクトのある戦い、つまり四皇2人をも凌ぐ「大きな戦い」が展開されると思われます。そこで出てくるのが、ベガパンクの新発明なのではないでしょうか。人造悪魔の実の開発をしていたシーザーですが、彼が作るスマイルは動物(ゾオン)系のみでした。そしてベガパンクは、彼よりも高度な開発をしているようです。もしかしたら超人(パラミシア)系や自然(ロギア)系の悪魔の実の創造にも成功しているかもしれません。最後の戦いになってその辺りが出てくると、大きな脅威となります。ワノ国編絡みで言うと、ベガパンクはカイドウの血統因子を取得したと判明していました。カイドウの血統因子から作られたのが、モモの助が食べた人造悪魔の実です。キングがパンクハザードで捕らえられている描写もあったので、『神』と呼ばれたルナーリア族の血統因子を採取している可能性も十分あります。もしも、ロギア系の複製軍団や、それらを食べた武器の数々、ルナーリア族の軍団などを作り出していれば、最終闘争はワノ国編を上回る厄介な相手と戦うということになるでしょう」

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