【漫画】一見恐ろしい蜘蛛と見た目で毛嫌いする同級生、どちらが本当の友達? Twitterで話題『少女と蜘蛛』の問いかけ

自分をヒーローにした漫画を制作

――現在の漫画状況をお聞かせください。

みこまるさん(以下、みこまる):現在2人の子供を育てながら制作しております。幼稚園に送り出してからと、寝かしつけた後の時間が主な制作時間です。

――絵を描くようになった時期は?

みこまる;絵を描き始めたのは幼稚園より前だったと思います。近所の創作アトリエみたいな所に通っていました。ストーリーのある漫画を描き始めたのは小学3年生くらいの時です。自由帳に自分をドジっ子ヒーローにした漫画を描いていました。

――当時影響を受けた作品はありましたか?

みこまる:セーラームーンが流行っていて、アニメを見ながら真似して描いていました。

――学生時代から漫画家を目指して活動していたのですか?

みこまる:はい。とは言え、当時はストーリーを考えることが苦手で、「漫画家にはなれないかも…」と半ば諦めていました。ですが、絵を描くことは好きだったので、美大に進学して絵画を専攻。卒業後は絵画制作から離れてしまいましたが、結婚後に「やはり自分は漫画的な表現が好きだな」と思い、SNS上に犬の漫画を描き始めました。

――紆余曲折あるのですね。

みこまる:そうですね。ただ、その犬の漫画を見たデザイン会社の友人が「漫画描ける人を探しているんだけど」と声をかけてくれて、そこから子育て漫画を仕事として描き始めました。それが2018年です。その後、2021年に「コルクラボマンガ専科」を受講したことを契機に創作漫画を描くようになりました。

蜘蛛の表情に一工夫

――「少女と蜘蛛」を制作した経緯を教えてください。

みこまる:ある時自宅にアシダカグモが現れ、最初は家族みんなちょっと怖がっていましたが、「ゴキブリを食べてくれるらしい」ということで放っておきました。そうしたら、玄関や風呂場といった人目につかない場所から、リビングや台所、台所の棚の上など人が長く過ごす場所にも進出。そのくらいから「もしかして私たちが追い払わないから安心して、好意的に近づいてきているのでは」と思うようになりました。そのころには、私たちも蜘蛛に名前を付けて半ばペットみたいに可愛がっています。

――この交流が題材になったのですね。

みこまる:はい。また、ちょうど少女漫画雑誌「なかよし」と漫画投稿サイト「コミチ」の共同企画に「関係性」をテーマとした漫画賞があったので、蜘蛛の気持ちを想像しながら私たちと蜘蛛の関係を描くことにしました。実際の制作期間は1週間くらいですが、着想を得てからネームにするまで考える期間もあったので、それよりもう少しあると思います。

――そもそも蜘蛛は好きでしたか?

みこまる:特別蜘蛛が好きというわけではないです。ですが、キュートで人気のある動物よりは、あんまり好まれない蛙やトカゲといった動物のほうが好きです。蜘蛛もよく見れば、動きがコミカルで人間臭くて可愛いと思います。

――“蜘蛛の表情”がとても伝わってきましたが、どの点に工夫しましたか?

みこまる:感情を伝えるために蜘蛛の身体をデフォルメしてコミカルにしようと思いましたが、パッと見の気味悪さを伝えるためにフォルムは崩すことはできません。ですので、「工夫できるのは目かな……」ということで、目は少し強調してコミカルにしました。8つの目があって、「4個くらいで表情出すと可愛いな」ということで主に4つの目で描きました。

誰も責めない優しい作品

――これまでにない”多様性”を示した内容に感じましたが、同作を通して、どのようなメッセージを伝えたいですか?

みこまる:わかりやすいメッセージとしては「外見で判断する事の是非」みたいなことでしょうか。「本質の方が大事だよ」ということとか。その他にも、蜘蛛を気味悪がる友達、リーダー核の友達、何となく迎合している友達、何かしらの背景がありそうな母親。これまで歩んできた多様な人生あり、各々の言動は誰も何も悪くない。ただ、それぞれの役割を担っているだけ……という思いも込めて描きました。あとは、単純に「アシダカグモ意外と可愛いよ」「追い出さないで」ということでしょうか。

――ちなみに、みこまるさんの家に現れたアシダカグモは今もいるのでしょうか?

みこまる:最近、姿を見ていません。彼らは巣を張って生活しているわけではなく、移動の時などに補助的に糸を出すらしいのです。その糸が掃除をしてもまた新たに壁から壁に架かっていたりするので、多分どこかにいるんだと思います。むしろ、どこかにいて欲しいなと思います。ちなみに、漫画では黒色で描きましたが、実際のアシダカグモはグレージュと言いますか、スモーキーな色をしてます!

――最後に今後どのように漫画を制作していきたいですか?

みこまる:爆発的大ヒットとは言わずとも、皆さんの心にひっそりと残る作品が描けたらなと思っています。今のところWeb漫画を主に描いていますが、1度自分の作品が印刷されて販売されているところを見たいです。

 また、現在「クニエマンガグランプリ2021」というマンガ賞に参加しております。こちら6名の漫画家がノミネートされていて、「面白いからみんな見て!」という作品を競う漫画賞で、私は「田端、明日は売るつもり!」という漫画でエントリーしております。こちらもぜひお読みいただければ!

■『田端、明日は売るつもり!』はこちら
https://www.qunie.com/manga-gp/nominate_no5_1.html

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