『鬼滅の刃』で描かれる熱い兄妹愛 炭治郎と妓夫太郎の違いとは?
炭治郎と妓夫太郎の違いとは?
あらためていうまでもなく、こうした「他の誰かを信じられる心」は、子供の頃から炭治郎の中でゆっくりと育まれてきたものであり、それを持っているか否かが、同じ「妹想いの兄」である彼と妓夫太郎の最大の違いだといっていいだろう。つまり、いまも昔も炭治郎と襧豆子の周りには多くの頼れる人たちがいて、妓夫太郎と堕姫には誰もいない、ということだ。そうした「境遇」の違いが、ふたりの「兄」の命運を分けたといってもいい。
だが、少なくとも、妓夫太郎には堕姫が、堕姫には妓夫太郎がいたわけである。彼らが犯した罪の数々が許されることはないが、その点においてだけは、ふたりには“救い”があったといえるかもしれない。
なお、公式ファンブック(『鬼殺隊見聞録・弐』)収録の「大正コソコソ噂話」によると、かつて梅が客の侍の目玉を突いてしまったのは、妓夫太郎のことを侮辱されたからなのだという。そう、人であった時も鬼であった時も、兄は終始、妹を守るために戦い続けたが、実は妹の方でも、兄の尊厳を守ろうとして戦っていたのである。
いずれにせよ、彼らの行く先は間違いなく“地獄”だろうが、この強い“絆”があるかぎり、ふたりはどんな辛い場所でも逞しく生きていけるのではないだろうか。
「俺たちは二人なら 最強だ/寒いのも 腹ペコなのも 全然へっちゃら/約束する/ずっと一緒だ/絶対離れない」(第97話、妓夫太郎の回想より)