サンジや黒ひげも覚醒者となるのか? 『ONE PIECE』の戦局を占う、覇王色の覇気を考察

※本稿は『ONE PIECE』のネタバレを含みます。

 『ONE PIECE』では、作品独自の概念が多く登場する。その中でも現在進行中の「ワノ国編」で際立って注目されているのが、“覇王色の覇気”だ。

 3種類ある覇気の中でも、「覇王色」は特に異質な力である。「見聞色」と「武装色」は誰でも身につけ鍛えられる可能性があるが、覇王色は資質にすべてを左右されるからだ。覇王色は数百万人に一人と言われる、「王の資質」を持つ者のみが覚醒する能力であり、意図的に鍛えることもできない。使用者の人としての成長によって、その練度が高まっていく。

 コントロールできれば、格下の敵を一気に気絶させられるこの力。2022年1月現在、作中に覇王色の覚醒者として登場したのは総勢17人である。

 最悪の世代からは、登場当時でルフィより懸賞金が高かったキッドが覚醒者と判明している。また元を含め四皇は全員が覚醒者で、最高幹部レベルにも使役する人物がいる海賊団も多い。ロジャー海賊団にも数人おり、海軍サイドではセンゴクが使えると発表された。そしてワノ国編にて、我らが麦わらの一味に所属するある男が、新たに覚醒してみせた。それが船長、モンキー・D・ルフィの右腕である、ロロノア・ゾロだ。海賊王の右腕である“冥王”シルバーズ・レイリーも、研ぎ澄まされた覇王色を披露している。何かと彼と比較されがちなゾロだが、ようやく海賊王の右腕となる資格を得たと言えるだろう。

 作品中盤までの覇王色は、雑魚を一掃する強大な資質の証でしかなかった。しかしワノ国編に突入してからは新事実が次々と発覚し、覇王色の存在意義も変わりつつある。

 ワノ国編で新たに登場したのが、「流桜」という概念だ。ヒョウ五郎は流桜を「外界で言う覇気」と話していたが、実態は少々異なる。ヒョウ五郎曰く流桜には「流れる」という意味があり、厳密には覇気を纏わせ流す技術を指している。例えば武装色であれば、お馴染みの使い方が「武装色“硬化”」だろう。これは文字通り武装色を使い直接硬化しているわけだが、流桜は対象部位に覇気自体を纏わせ内部から破壊するのだ。

 そして流桜を会得したルフィは、“覇王色も纏える”事実に気づく。カイドウも覇王色の流桜の存在を認め、自分自身も使いこなしてみせた。彼の言葉から稀有な覇王色の使い手の中でも、さらに一握りのみが纏わせられ、四皇レベルでは当たり前のように使われていると察せられる。「王の資質」の証である覇王色の覇気で直接攻撃できるとなれば、現状何よりも強力な攻撃手段となるだろう。覇王色の持つポテンシャルは未だ計り知れなく、戦闘面での今後の最重要事項となった。

 また覇王色自体の新情報の発覚はもちろん、新たな覚醒者も気になるところだ。ルフィの父であるドラゴンなど、明言はされていなくても覇王色持ちのキャラは存在すると思われる。その中でも特に気になるのが、麦わらの一味のコックであるサンジと、宿敵である黒ひげだ。

 ロビンに「海賊王の両翼に相応しい」とまで言わせたサンジは、ゾロと同じように覇王色覚醒を成すのか。ルフィとゾロは、各々が別の道の頂点を目指している。ルフィは「海賊王」を、ゾロは「世界一の大剣豪」を志すが、サンジの最終目標は「オールブルーの発見」だ。もし資質から本能的にトップを見据えているのであれば、サンジの覇王色覚醒の可能性は低い。たしかにロジャー海賊団には、少なくとも4人の覚醒者がいた。船長、副船長の他に、光月おでんとダグラス・バレットだ。また現四皇として君臨するシャンクスも、見習いとして乗船していた過去がある。しかしロジャー海賊団と麦わらの一味では、そもそもの母数が異なる。何かと比較される2つの海賊団だが、麦わらの一味の覚醒者が2人でも不自然ではない。

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