『呪術廻戦0』を読み解く3つのポイント 乙骨憂太の視点から見えてくるもの

 12月24日、アニメ映画『劇場版 呪術廻戦0』が公開された。公開3日間での興行収入は26億円を突破。新たな大ヒット作品となりそうだ。

 同作は、『呪術廻戦』の前日譚となる『東京都立呪術高等専門学校』(以下、0巻)が原作となっている。舞台は2016年。主人公の乙骨憂太は、特級過呪怨霊である祈本里香に取り憑かれていた。いじめられていた乙骨だが、逆にいじめっ子を里香が攻撃。重症を負わせてしまったことで、呪術高等専門学校へ転校することになる。徐々に自信を持ちはじめ、周りに溶け込んできた矢先に、乙骨の力を手に入れるために呪詛師の夏油傑が動き出す。その様子が描かれた0巻は、本誌に負けず劣らずの人気作だ。そこで改めて0巻の見どころを振り返ってみよう。

 見どころと言えば、なんと言っても「乙骨について」だろう。本誌では早い段階から名前が度々登場していたが、なかなか姿を表さなかった人物だ。単行本では16巻に登場したばかりで、まだ人物像が深く描かれてはいない。しかし0巻では乙骨がどんな経緯で呪術高専にやってきたのか、何を目的として呪術高専で学んでいるのか、なぜ特級なのか、どんな術式を使うのかなど、乙骨というキャラクターのディテールが描かれている。さらに、現2年生である禪院真希、狗巻棘、パンダたちとどんな風に馴染んでいったかのかもわかるようになっている。

 次に挙げたい見どころは「2年生たちの関係性」。本誌でも真希やパンダについてのストーリーがあるが、0巻を通して乙骨と2年生たちの関係性が見えてくる。例えば乙骨に体術を教えたのは真希で、しかも3ヶ月でかなり上達していたり、乙骨の初実戦は狗巻との同行だったり、パンダが何かとフォローを入れていて意外と面倒見が良かったり……。また、初対面時こそ乙骨に臨戦態勢を取っていた真希、狗巻、パンダだったが、徐々に絆が生まれて乙骨を守るために3人が立ち向かっているシーンもグッと来るものがある。ちなみに、狗巻の台詞は「しゃけ」が肯定、「おかか」が否定ということが明記されているのも0巻だ。こうした2年生の絆と細かな一面を知ることができるのも0巻の面白さだろう。

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