『ザ・ファブル』海老原組長がカッコ良すぎる! 義理と人情の生き様に迫る

明と洋子の平穏な生活を願う

 海老原は全編を通して殺し屋として生きてきた明と洋子が平穏無事な生活を望んでいることを知ると、それを後押しするようになる。

 そのきっかけの1つに、自身が心筋梗塞で倒れ入院した際、小島がデリヘルの開業を企て、風俗業をシノギとしていた砂川とモメた事件が挙げられる。佐藤が調査や解決に協力したこと、浜田組長もそれを望んでいたこと、ファブルのボスに明を抗争に巻き込まないよう念押しされたことで借りができたのだ。

 もちろん、目の前で元プロレスラーの男を6秒で叩きのめすなど、佐藤の持つ強さと、殺し以外何も知らない純朴な心を知ったことも大きいのだろう。真意を知った後の彼は、心のどこかで佐藤の気持ちが理解できていた様子だった。

 第二部では真黒組と紅白組の軋轢が表面化したが、そこでも「組の問題」として内情を知る元ファブルのアザミとユーカリに関わらないよう念押しし、明についてはミサキと新婚生活を送っていることもあり、組の情報を一切耳に入れないようにしている。

 真黒組がファブルと縁を切っている状態で、抗争に入りつつある紅白組がルーマーという殺人組織と関わりを持っていること考えると、今後、明やアザミ・ユーカリが協力する可能性は高いが、海老原が現状ではそれを望んでいないこともまた、事実である。

己の生き方を貫く海老原

 海老原は基本的に反社会的な存在であり、品行方正な人物とはいい難い。しかし、心優しい一面を持っていることも、間違いないだろう。

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