藤本タツキ、遠藤達哉、山本崇一朗、羽海野チカ……有名漫画家たちの原点「初期短編集」に感じる才能
【3月のライオン】羽海野チカ『スピカ ~羽海野チカ初期短編集~』
今年の9月にファン待望となる1年9か月ぶりの最新16巻が発売された『3月のライオン』。史上最年少でプロの棋士となった桐山零(きりやまれい)の戦いと、彼を取り巻く人々との交流を描いた作品だ。
作者の羽海野チカといえば本作のほか代表作に『ハチミツとクローバー』を持つ。羽海野チカが描く、暖かいタッチのイラスト、そして優しくも少し切ない世界観は唯一無二。そんな羽海野チカのデビュー当初や各誌で描いた短編集を収録した一冊が『スピカ ~羽海野チカ初期短編集~』である。
少年探偵が活躍する、まるで絵本のように可愛らしくて心温まる物語。そして、バレリーナを目指す少女と野球児の甘酸っぱい恋の瞬間や、先生と生徒2人の間に流れるゆっくりとした空気感を味わうショートストーリーなど、どこか幻想的で夢のような羽海野チカならではの世界観を堪能できる一冊。装丁もとても可愛く、書版で購入して大切に手元に置いておきたくなるような魅力を放っている。
「初期短編集」はそれぞれの作家のルーツや剥き出しの才能を垣間見れる以外にも、1冊で複数の物語に触れることができる点でも魅力的だ。今大注目の有名漫画家たちの”初期”。ぜひ、この機会に触れてみてはいかがだろうか?