『ONE PIECE』シャンクスはなぜルフィに麦わら帽子を託した? ワンピース研究家が考察する、最重要人物の謎

 数多くの個性的なキャラクターが登場する『ONE PIECE』の中でも、特に謎多き人物といえば“赤髪のシャンクス”だろう。第一話から登場し、主人公のルフィにとっては海賊を目指すきっかけになった命の恩人であるが、かつては海賊王ゴール・D・ロジャーの船にいたことや、『ONE PIECE』の世界で最強とされる四皇のひとりであることなど、物語が進むに連れて驚きの事実が次々と判明。幼き日のルフィに対して取った行動にも、大きな伏線が隠されていると見る向きもある。

 現在、シャンクスにはどんな謎があるのか。ワンピース研究家の神木健児氏に聞いた。

「シャンクスはルフィにとって憧れの海賊であるだけではなく、読者からの人気も高いかっこいいキャラクターですので、ファンとしては良い人物であってほしいという望みはあります。しかし、意味深な描写が多いのは事実で、シャンクスの正体はまだ掴みきれない部分があります。例えば、世界政府最高権力者であり、世界貴族の最高位である五老星と対峙するシーンでは、特徴的な目元の傷跡が見えないようになってました。一方で100巻を記念して描き下ろされた「大海賊百景」では、ほぼ同じ角度だったのにも関わらずハッキリと傷跡が描かれています。また『ONE PIECE』の公式キャラブックである『VIVRECARD~ONE PIECE図鑑~』のバインダーの表紙では傷跡が確認できません。もしかしたらただの描き忘れや角度の問題なのかもしれませんが、シャンクスは実は双子なのではないかという説さえあります」

 一方、五老星と話していたことから、その出生に大きな秘密があるのは確かだと、神木氏は見ている。

「天竜人のトップである五老星と話していたくらいですから、シャンクスの出生に彼らがなんらかの形で関わっている可能性はあると思います。ゴール・D・ロジャーから何かを聞いて涙していたのにも、もちろん意味があるでしょう。天竜人を守るために、ルフィの祖父であるモンキー・D・ガープがゴール・D・ロジャーと手を組んで、当時最強と恐れられたロックス海賊団を壊滅した“ゴッドバレー事件”が起こったのが38年前。シャンクスは現在39歳ですから、その時に赤ちゃんだった彼が現場にいて、ロジャーが引き取って育てたという説はありうると思います」

 シャンクスがこの世界の秘密を知っていたと考えると、第一話の描写も意味深なものばかりだ。聖地マリージョアに巨大な麦わら帽子が保管されていることから、シャンクスが託した麦わら帽子もただの麦わら帽子ではない可能性がある。

「そもそも、放浪が趣味のシャンクスがなぜイーストブルーに長期滞在していたのかも謎ですし、その後、北の方へ向かった理由もわかりません。ただ、元CP9のフーズ・フーが12年前に世界政府の船で『ゴムゴムの実』を護送中に奪われたと証言していたことから、シャンクスたちが『ゴムゴムの実』が極めて重要な実であると知った上で奪った可能性があり、それを食べたルフィに麦わら帽子を預けたことにも、大きな意味があるのかもしれません」

 四皇の一人であるため、絶大な戦闘力を持っていることは確かだが、しかし、その能力もまったくの謎である。

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