「少女漫画×猫」ときめきながら猫にも癒される……! 大人にぴったりなオススメ3作品

 猫は不思議なものだ。主人をなんと思っているのかケロッとした顔で踏み台にしたり、こちらが近寄ったら逃げて、かといって離れると近寄ってきたり。主人がつらいときには何かを察し、黙ってそばにいてくれるなんてこともある。

 そんな自由奔放な猫が、ときに漫画のなかで目を引く。猫がいることで登場人物たちの距離が自然と近づくきっかけとなったり、心情がより引き立てられ、読者に伝わりやすくなったりと、その役割や効果はさまざまだ。本稿ではメインはラブストーリーだが、猫にも癒されるおすすめの少女漫画を3作品紹介する。

たまのごほうび/星谷かおり(4巻完結)

 少女漫画誌「別冊マーガレット」で連載されていた『たまのごほうび』。小中と女子高育ちで男の子へのあこがれが強く、妄想を募らせる高校生の三ヶ田かの子と、隣の席になったつかみどころのない猫みたいな天才男子、玉緒唯人との初心者ラブコメだ。

 本作は1ページ目から猫が登場。校舎裏で玉緒が2匹の子猫とともに昼寝をしているシーンから読むことができる。「あれ? 天使かな?」というレベルで可愛らしい顔をしている玉緒。その様子を見てかの子は、「触れずにはいられない…」という気持ちを抱いていたが、筆者は超わかるぞ。

 なかでも子猫に名前をつけるシーンは、最初に2人が心の距離が近くなった場面だ。名前がなかった子猫に、かの子は「”たま”にしない!?玉緒くんといっしょ!」と声をかけると、玉緒は「…じゃあこっちは”みけ”にしよ。三ヶ田さんといっしょ」と返してくれる。このやりとりが可愛い。かの子が間違って玉緒のことを「たま」と呼んでしまっても、「にゃー」と返してくれるようになり、おちゃめな一面も出てきてドキドキ。作中では、みけたまコンビ(子猫)と戯れている2人を見て癒されてほしい。

リビングの松永さん/岩下慶子(11巻完結)

 少女漫画誌「デザート」で連載していた『リビングの松永さん』。親の事情で叔父が経営するシェアハウスに住むことになった女子高生のミーコ。そこには一番年上でちょっと怖いけど世話焼きな松永さんをはじめ、一風変わった大人たちが住んでいる。シェアハウスで繰り広げられるラブストーリーだ。

 シェアハウスで飼っている猫のサバコ。「ぶにゃああ」と鳴く、いわゆるぶさかわ猫で、住人を玄関でお出迎えしては、リビングで見守っているマスコット的存在だ。ミーコと一番歳が近い医大生の北条凌(ちょっと内気なイケメン)によく懐いている。やや女性不審な凌が女好き(?)である健太郎に、「動物にしか相手してもらえなくなるよ」と軽くディスられているのをみると、サバコは「ぶにゃあああ」と怒ったりする。こうしたシーンは、サバコが”女“の部分を出していて、筆者はわりと好きだ。コミックスには「リビングのサバコ」という番外編もいくつか入っており、凌に恋するサバコの様子も描かれている。

 ちなみに筆者はサバコの心の声を、声優の”くじらさん”(スナックのママみたいなハスキーな声)で脳内再生されている。だが、凌にとってはもっと可愛い声のイメージらしい。普段はクールな凌もサバコに対しては「世界一カワイイよ」と甘々な面もみせる。サバコずるい。コミックスで作者が「サバコと凌くんカップル推しが増えている」と語っていたのも頷ける。締め切りは過ぎてしまったが、「リビングの凌くん」という書きおろし小冊子のプレゼントもあるとか(今回応募できなかった人向けにも届くチャンスがまたあれば……)。ぜひサバコの声を自分なりにイメージしながら読んでみてほしい。

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