四千頭身・後藤、エッセー集の一部にウソ発覚? 「今は本当のことだけ言ってます。これが事実です」

 お笑いトリオ四千頭身の後藤拓実が、初のエッセー本『これこそが後藤』を出版した。本著は文芸誌『小説現代』にて連載されたエッセーをまとめ、さらに書き下ろし作品、俳優・ムロツヨシ、作家・武田綾乃との対談を収録したもの。

 気軽な気持ちで参加した草野球で思わぬ本気モードに巻き込まれた話。パン屋さんにて店員さんにひと目惚れした話。学生時代の文化祭でステージを盛り上げた思い出話。お笑い第7世代に思うこと……など、普段ひょうひょうとして掴みどころのない後藤の脳内を垣間見ることができる。

 だが、読めば読むほど後藤にいなされる感覚が拭えない、この本。その疑問を抱えて後藤本人を直撃することにした。すると、まさに「これこそが後藤」というインタビューになったので、ぜひお楽しみいただきたい。(佐藤結衣)

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4文字と思いきや、1原稿1200文字以上だったエッセーの仕事

――今回は初のエッセー本ということですが、改めてこうして本という形になった感想はいかがですか?

後藤:そうですね。やっぱり夢にまで見たエッセー本ということだったので、目から涙がこぼれてきまして、口に入りまして、その涙で水分補給をすることができました。最初にオファーをもらったときは「エッセーを書いて」と言われたので、「エッセー」っていう4文字を書けばいいのかなって思っていたんですけどね。「あ、4文字ならば」と思っていましたね。

――4文字だと思ったら、1原稿あたり1200文字以上だったと(笑)。

後藤:はい、1200文字以上でした。どうにかして文字数を伸ばそうと、あらゆる記号を駆使してですね、書かせていただきました。『小説現代』の名だたる作家さんたちに肩を並べて名前が書いてあったので、そこはもう「自分は作家だぞ」という気持ちで。

――作家の自覚がすでに芽生えていたんですね。原稿の修正に関しては?

後藤:編集の方とのやりとりはマネージャーがやってくれたのかな。なんか送られてきていましたけど。僕はサッと目を通して「はい!」っていう。

――四千頭身として漫才のネタも書かれていると思うんですが、エッセーを書くときは何か違いを感じますか?

後藤:そうですね。やっぱり伝わる、伝わらないっていうところは意識しますね。漫才と違って、目の前で読んで披露するわけではないので。そのあたりが違います。

――もともと文章を書かれるのはお好きだったんですか?

後藤:あんまり得意ではなかったんですけども。筆はのりました。

――どれぐらいの時間で1つのエピソードを書かれるんですか?

後藤:いちばん速いときは、40秒。

――え、40秒!? 

後藤:はい。テーマは「こういうのどうでしょうか」みたいなのをいただきまして。そうですね、40秒です。

――では、何度も推敲を重ねることはせずに?

後藤:なかったですね。やっぱりプロが言うことに従った方がいいので、ええ。毎回、1200文字ギリギリで出しても何も言われなかったので、そこはよかったなと思ったんですけど。結局、本になるとなったときに「文字数が足りない」ということで、7作品追加したんです。しかも5日間でって言われて。締め切りの前日、前々日で泊まりの撮影が入っていたので、実質3日だったんで、きつかったですね。

――それは大変でしたね! あ、でも最短40秒で書けるって(笑)。

後藤:はい、だから280秒で。7×4なんで280秒でしたね。

――(笑)。新たに追加されたのは、どのエピソードでしょうか?

後藤:小・中・高校生のころの話ですね。それから帰郷した部分もそうですね。あと好きだったお笑いとかもそうですね。

――過去のお話を中心に書き下ろされたんですね。個人的に、草野球の話すごく好きでした。これは最近の話だったんですか?

後藤:そうですね。去年かな? 今年だったな? 結構、最近ではあると思いますけど。いや、ひどい話ですよね。あんなガチで1球1球熱が入った草野球、見たことなくて最悪でしたね。「これはエッセーになるな」って思いながら塁上を守っていました。

教頭先生の教えを実行した、ムロツヨシさんとの対談

――本作には親睦のあるムロツヨシさんとの対談も収録されていますが、プライベートで飲みに行くときとは雰囲気は異なりましたか?

後藤:ムロさんいつもと違ってサングラスかけてて、ちょっと芸能人って感じで来たんで「あ、ムロツヨシだ」って思いました。いつもは普通のおじさんなんですけど。

――普段とは違う緊張がありましたか。

後藤:そうですね。昔、中学校のときの教頭先生に教えてもらったんですよ。「緊張して目を見れないときは、ネクタイのココ(結び目)を見ろ」って。だからネクタイ見ようと思ったんですけど、ムロさんしていなかったので。ムロさんのマネージャーさんのネクタイを見ていました。

――え! 遠くないですか(笑)?

後藤:そうなんですよね。なんでそんな離れたところに立っているんだろうって感じだったんですけど。でも、そこは教頭先生の教えなので。こう横目で見る感じで。

――教頭先生のお話、よく覚えていらっしゃいましたね。

後藤:あるとき急に呼び出されて「キミ、緊張して目を見れないときは……」って言われたので覚えていますね。驚きました、その話を僕、教頭先生の目を見て聞いていたんですよ。

――ちゃんと目を見れる子だったのに!

後藤:そうなんです。なんで視線をずらさなくちゃいけないんだろうって思いながら聞いていました。あれは謎でした。

対談で語った内容の一部に、ウソ発覚!?

――小説家・武田綾乃さんとの対談はいかがでしたか?

後藤:「武田さんと対談だよ」ってなったときに僕、真治だと思ったんですよ。

――武田真治さんの方の武田さんだと?

後藤:はい。だから、楽器と筋肉について調べて臨んだんですけど、あまり生かされずという形になりましたね。

――対談では、しっかりお話が弾んでいるように見えましたが。

後藤:幸い知識はあったんでね。本とか読んでいたんで。事なきを得ましたけれども。なんだか街コンみたいな雰囲気で進んでいきましたね。お互いの趣味の話とか聞き合って。感触は悪くなかったと思ったんですけどね、その後連絡はこなかったです。残念ながら。

――対談の中では、「まな板の上にパソコンを置いて書いている」ともありましたけれど、今もそのスタイルですか?

後藤:僕がですか? あー、これ僕ウソ言っていますね。すみません。まな板にパソコン載せたらね、切っちゃいますもん。キッチンでは書いているんですけど。本当は鍋の上で書いています。安定感があるので。次は圧力鍋がほしいなって思っています。もう少し高さがあるといいなと思って。

――どこまでが本当の話かわからなくなりますね(笑)。

後藤:今は本当のことだけ言ってます。これが事実です。

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