『ゴルゴ13』さいとう・たかをさん死去 多くの漫画家、関係者から追悼の声

 『ゴルゴ13』などの作品で知られる漫画家、さいとう・たかをさんが亡くなった。84歳だった。

 『ゴルゴ13』を連載している「ビッグコミック」編集部は「本誌にて『ゴルゴ13』を連載いただいております劇画家のさいとう・たかを氏が、2021年9月24日 膵臓がんのため逝去されました」と発表(https://bigcomicbros.net/65270/)。

 続けて「氏には創刊の年から53年続く看板連載作品『ゴルゴ13』のご執筆のほか言葉に尽くせにお力添えを賜りました。生前のご功績に心から賛嘆と感謝を申し上げ、謹んで氏のご冥福をお祈りいたします」と別れを悼んだ。

 SNS上では、水木プロダクション、石森プロの早瀬マサト氏をはじめ、親交のあった多くの漫画家、出版社、そして作品を楽しみにしていた読者たちがさいとうさんへ追悼の声を寄せている。

 生前から「自分抜きでも『ゴルゴ13』は続いていってほしい」と話していたというさいとうさん。編集部は今後について、さいとうさんの遺志を継いだ「さいとう・プロダクション」が作画を手がけ連載を継続していくと発表しており、読者は今後もさいとうさんの想いがこもった作品を読むことができる。

 その背景には、さいとうさんがコミックの分業形態での制作システム構築に尽力されたことが挙げられる。『ゴルゴ13』においても脚本協力、作画など各分野をそれぞれのプロフェッショナルたちに振り分け、全体をさいとうさんが指揮しながら作品作りを進めてきたという。

 『ゴルゴ13』は、新型コロナ感染症が流行した2020年5月から、作業過程で「3密」が避けられないとして2カ月の間休載を余儀なくされたが、それまでの52年間、ノンストップで連載が続けられていた驚異の作品でもある。巨人の死去に耐えがたい悲しみが広がるが、作品を読み返し、誰よりも作品を楽しみにしている読者の期待に応え続けたさいとう先生を追悼したい。

関連記事