『東京卍リベンジャーズ』最新刊で衝撃の展開? マイキーが放った言葉の意味を考察

 では、何がこれまでと大きく異なっているのかといえば、それは、タケミチのタイムリープの目的だ。前述のように、もともとの彼の(2回目以降の)タイムリープは、かつての恋人――すなわち、橘日向(ヒナタ)の命を救うためのものであった。しかし、最終章での彼は、そのヒナタではなく、東京卍會の元総長・佐野万次郎(マイキー)を“闇”から救い出すために、またしても過去へと戻っていくのである(注・これまでのタイムリープの行き先は「12年前」だったが、今回は「10年前」であり、タケミチは高校生になっている)。

 そこであらためて気になるのは、マイキーの存在である。これまでのタケミチは、最初のタイムリープを除いて、ヒナタの弟の橘直人(ナオト)をトリガーとして、幾度となく12年前へと戻っていた(具体的にいえば、ナオトと握手をすることで、比較的容易に現代と過去とを行き来できていた)。ところがこの最終章では、タケミチはナオトではなく、現代(2018年)のマイキーをトリガーとして、10年前へとタイムリープしてしまうのだ。

 この展開からいくつかの“マイキーの正体”が推測されるが、いまはまだ適当なことを書くのは控えておこう。ただ、第207話の最後で、彼がぽつりと呟く「来たか… タケミっち」というセリフが、かなり重要な意味を持っているということだけは、いまのうちに指摘しておきたい。

 なぜならばマイキーは、そのセリフをタケミチの姿を見ながらいっているわけではなく、遠く離れた場所にいながら、未来のタケミチが2008年に「来た」ということを(握手をした右手で?)“感知”していっているのである。ちなみにその種の能力は、同じトリガーである(過去の)ナオトにはなかった(少なくとも、そういう描写はなかった)。

 果たしてマイキーこそが、この物語の“黒幕”なのか。あるいは、タケミチと同じタイムリープ能力を持っているのか。後者だとしたら、タイトルが「リベンジャー“ズ”」と複数形になっている意味が明らかになるわけだが、その真相はまだわからない。

 だが、仮に、彼がなんらかの形で、この物語を最初から陰で動かしていた存在だったのだとしたら、第8話(第2巻)で千堂敦(アッくん)がタケミチにいった、「過去に戻って オマエが助けたいのは“アイツ”か…」というセリフの“アイツ”が、いったい誰のことを指していたのか、もう一度あらためて考えてみる必要があるだろう。そう、この時の敦は明らかに“何か”を知っており、続けて「“究極の愛”だな」ともいっているのだが……もしかしたら彼がいっていた“アイツ”とは、橘ヒナタのことではないかもしれないのだ。

 いずれにせよ、いま最も勢いに乗っているこの漫画の最終章から、ますます目が離せなくなったのは間違いないだろう。

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