作品への愛に満ちた『大ベルセルク展』 関係スタッフが語る展覧会への思い

 三浦建太郎『ベルセルク』(白泉社)の展覧会『大ベルセルク展~三浦建太郎 画業32年の軌跡~』が、本日9月10日よりサンシャインシティ展示ホールAにて開催されている。

(C)三浦建太郎(スタジオ我画)/白泉社

関係者全員『ベルセルク』が好き

 本イベントは連載時の直筆原稿・カラー原画300点以上を一同に介して開催する、初の単独大規模作品展。会場では作中での時系列に合わせた原画展示を中心に、謙信・プライム1スタジオが制作してきた各種スタチュー、本イベント用に制作された各種ジオラマ等、貴重な展示物を公開。登場人物紹介やガッツの旅の軌跡を原画・立体物とともに振り返るクロニクル、「蝕」「ゴドーの鍛冶場」「栗パックの森」「夢の回廊」などの再現が行われている。

 9月9日にメディア向けの内覧会が行われ、リアルサウンド ブックでは、コンテンツビジネス部課長・亀嶋淳司氏、ヤングアニマル編集部編集長・永島隆行氏、ヤングアニマル編集部・高村亮氏に話を聞いた。

 展示会は、当初1月30日から2月15日までの開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言の発出にともない延期となっていた。展示会自体の構想は、「もうすぐ30年だね」という三浦さんとの話があった5年前辺りから、原画展というアイデアが挙がっていたと亀嶋氏は明かす。

 原画展の入り口には三浦さんのメッセージが掲示されており、「アニメと白泉社関連のイベント以外は、10周年、20周年どころかサイン会の一つすらすっとばしてここまで来てしまいまいした。ツイッターもブログも無い、現代の漫画家としてどーなのよ、と言われても止む無し」と綴られている。ストイックに仕事を続けてきた三浦さんは展覧会の話を聞き「喜んでいられましたね」と高村氏は振り返る。続けて「原画を直接、原稿サイズで見てもらえるので、嬉しいことだと思いますね」と話し、亀嶋氏は「原画だと雑誌とかコミックスでは出てこない線が見えるので、ぜひじっくり見ていただきたいです」と述べた。

 三浦さんは今年5月6日に急性大動脈解離で死去。永島氏が三浦さんと最後に連絡を取ったのは亡くなる約1週間前だった。「本当に普通のやり取りでこんなことになるとは全く思ってもいなかったんです。普通に『早くまた飯屋行きたいね』ぐらいで。変わらない感じでしたね。ライトノベルを大量に買い込んでたみたいでした」と生前のやり取りを明かしてくれた。会場のラストには三浦さんの仕事場を再現した展示や三浦さんが『ベルセルク』や『大ベルセルク展』について語るインタビュー映像も上映されている。

 「関係者全員『ベルセルク』が好きで関わってくれている方たちなので、『ベルセルク』愛は伝わってくれるかなと思いますね」と亀嶋氏が話すように、原画の展示はもちろんのこと、クオリティの高い造形物やジオラマからは多大な『ベルセルク』愛が溢れている。中でも必見は「大ベルセルク展に巨大ゾッド像を降臨させよう!!」と題したクラウドファンディングで、支援総額1354万2000円が集まり降臨した巨大ゾッド像だ。三浦さんも監修に携わり、腕の付き方などにアドバイスしたという。

 亀嶋氏は「『ベルセルク』の世界観が分かりやすく体感できるように意識しましたね」と今回初めて『ベルセルク』に触れる来場者も考慮した一方で、「離れていた読者の方もいると思うので、これをきっかけに改めて観てもらえるといいなと思います」と語った。

 『大ベルセルク展』は、サンシャインシティ展示ホールAで9月23日まで開催された後、国内各地での巡業を計画中。2021年12月11日から2022年1月30日まで、大阪・ひらかたパーク イベントホールでの開催が本日発表されている。

■イベント情報
『大ベルセルク展~三浦建太郎 画業32年の軌跡~』
開催期間:9月10日(金)~23日(木・祝)
入場10時~19時/閉場20時
※最終日のみ:最終入場16時/閉場17時
料金:前売1,800円/当日2,000円
公式サイト:https://www.dai-berserk-ten.com/

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