『機械じかけのマリー』に惹きつけられる理由 与えられた役割に真摯に向き合う2人の姿

 マリーとアーサーのディスコミュニケーションもまた、読みどころのひとつ。

 マリーは「メイド・ロボット」として、またアーサーはマリーを溺愛する者として、さまざまな場面で、互いに優先順位が違う。少女マンガの始まりは少年と少女のディスコミュニケーションから始まる。そのディスコミュニケーションを、どうやってお互いの意思が通じあうコミュニケーションにしていくのかも、また作家・あきもと亜希氏の手腕の見せ所だろう。

 2021年7月現在で2巻まで出版されている。ふたりが少しずつ距離を詰めていく姿を――それは多くのひとが「甘酸っぱい」として、褒め称えるものだ――見守っていきたい。

 マリーは自分の気持ちを隠し、嘘をつき続けられるのか? アーサーはマリーの嘘を許せるのか? さまざまな問題がマリーとアーサーの前に課題として残っている。

 意地悪な読者としての私は、「簡単に、安易にカップルになられては困る」と思っている。どのように課題をドラマティックに解決していくか、今後の展開が楽しみなマンガであることは間違いない。
 
■書籍情報
『機械じかけのマリー(2)』
あきもと明希 著
定価:495円(本体450円+税10%)
出版社:白泉社

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