『こち亀』日暮熟睡男、2021年の目覚めに注目! 1980年~2012年の活躍を振り返る

 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の新作読切が、19日発売の「週刊少年ジャンプ」(集英社)33・34号合併号に掲載された。4年に1度、オリンピックイヤーに目を覚ます名物キャラクター・日暮熟睡男が登場するとあって、ファンの間では早くも話題だ。

 そんな日暮の活躍について、12年周期で振り返ってみたい。

モスクワオリンピック(1980年)

 日暮が初登場したのは、1980年のモスクワオリンピック。この大会は日本が不参加となったことから、両津勘吉はテレビの前で「今年は放送が少なかったな」と嘆く。大原部長も「今度も4年後だ。その頃世界情勢はどうなっているのか…」と不安そうな顔を浮かべていた。

 そんなとき両津が、日暮の存在を思い出す。会ったことがない中川に部長は「とにかくものぐさな男でな、ひと月に3日しか出勤してこないのがエスカレートして、今や4年に1度しか出勤してこなくなってしまった。別名オリンピック男と呼ばれている」と説明する。

 部長の命令で日暮の住む寮に向かった両津と中川。蜘蛛の巣やコウモリが暮らす部屋の窓を開けると、日暮は目を冷まし、「ロッキード事件はどうした」「アグネス・ラムブームはどうした」などと、両津に現在の社会情勢を質問。4年の空白期間に、日暮は驚いた様子を見せた。

 両津とともに派出所に出勤し、秋本麗子の顔を見ると突然覚醒。100%24時間以内の事件を予知したうえ、それをポラロイドカメラに写す能力を発揮し、事件を解決していた。(21巻)

バルセロナオリンピック(1992年)

 1992年のバルセロナオリンピック。柔道の古賀稔彦選手、吉田秀彦選手、競泳平泳ぎの岩崎恭子選手が金メダルを獲得。また、平成に入って初めてのオリンピックでもあった。

 両津はオリンピック中継をテレビで見ると、日暮の存在と4年前に預かった貯金1,500万円を使い込んでしまったことを思い出し、「今年は起こすのをやめよう」と部長に提案する。

 しかし部長は日暮の予知能力を使った迷宮入り事件の解決に期待しているため、拒否。派出所のメンバーで部屋に向かうと、巨大な蛾や食虫植物が成長し、襲われてしまう。部屋にいなかった日暮は、パン屋でパンを買おうとしていたが、「消費税とか言って余計な金を取ろうとした」として、店を破壊しようとしていた。両津から消費税を説明されると「そんなバカな。竹下首相が決めたんですか?」と驚く。両津は「竹下、宇野、海部、宮沢。お前が寝ているだけでこれだけ変わった」と説いた。

 派出所で両津は日暮が貯金通帳を預けたことを思い出さないために4年間の変化を話し、ジュースを飲ませて寝かせる。日暮が寝ている間に「これで貯金通帳を返さなくて済んだぞ」「寝たから言うが、1,500万円使い込んでしまった」とつぶやくと、話を聞いていた日暮は怒りに震え起き上がる。両津は「運用してあげたらバブルが弾けてなくなったんだ。仕方がないことなんだよ」と釈明した。(81巻)

シドニーオリンピック(2000年)

 ミレニアム開催となったシドニーオリンピック。柔道で田村亮子、マラソンで高橋尚子が金メダルを獲得するなど、女性アスリートの活躍が目立ったこの大会だが、篠原信一の「世紀の誤審」による銀メダルや、プロ・アマ合同で臨んだ野球が4位となりメダルが取れないという、日本にとっては厳しい事態も起きた。

 この頃になると日暮は名物キャラとして定着しており、冒頭に「4年ぶりにあいつが帰ってくる」と記述が。存在を思い出した両津だが、日暮の居所を忘れてしまっていた。前回96年の行動を回想すると、日暮を歌舞伎町の人間カプセルという怪しげな施設に設置されたカプセルに入れて寝かせたことを思い出す。

 歌舞伎町に行ってみると、「人間カプセル」が入っていたたビルは「キャバクラピンク天国」に変わっていた。しかもその前はコンビニ、その前はレンタルビデオ店と、次々に変わっていて、行方を掴むことができない。その後、カプセル会社のあとに入った会社の人物から「カプセル会社は社長が逮捕された」と告げられる。カプセルは、業者に出して廃棄処分としたのだという。その会社も悪徳で社長が逮捕され、カプセルは東南アジアに送られていた。その後、中川の会社が調査し、オホーツク海に沈められていたことが発覚する。

 読者から「日暮を出せ」という投書が寄せられていることもあり、派出所のメンバーは飛行機に乗りオホーツク海へ。中川海洋研究所が海流などを分析し、カプセルが沈んでいるおおよその位置を予測。海の中に沈められていたカプセルが無事に見つかり引き上げるが、中は空ばかり。結局125個のカプセルを船に上げ、捜索。やっと思いで日暮を見つけると、起きた日暮は「たまごっち取れた?」とポツリ。

 そしてまた、「島についたら起こして」といい、カプセルの中で寝てしまう。島が近づき、両津が日暮を起こしに行くと、船のカプセルを作業員がすべて海の中に投げ捨てていた。結局、また行方不明になったのだった。(123巻)

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