【漫画】入社3年、退屈な仕事、くそ上司……ネットで見つけた新しい仕事とは? Twitterで大反響『たいせつなしごと』に見る人生の楽しみ方

ーー「ひたすらエンターキーを押し続ける それがわたしの仕事」という清水さんの心の声は、1日に何度もキーボードやエンターキーを押す自分を俯瞰できる印象的なシーンでした。この場面も大白さんの実体験がモチーフとなっているのですか?

大白:そうですね、デスクワークが中心の仕事をしていました。ずっとエンターキーだけを押しているわけではないですが。現代はデスクワーク中心の仕事をしている人も多く、みんな毎日キーボードを押し続けるために生まれてきたわけじゃないのにと思いながら描きました。

 エンターキーだけを押し続けるという仕事は、描写としての面白味を出すことも意識していました。リアリティをぼやかすことで、現実とは少し違う世界観を表現したかったんです。

ーー会社の窓から見えた夕日の光が、大白さんの実体験も反映された本作のターニングポイントだったと感じます。大白さんは他の作品でも「光」を丁寧に描かれていますね。

大白:美しい光が好きなんだと思います。漫画を描く上で光の当たり方を意識していて、生活の中でも光を意識して観察していますね。するときれいな光景に目が留まるようになったり、光の当たる景色を写真に取るようになりました。

 最近見かけた景色だと、田んぼが広がる家の近所の光景がきれいでした。道のわきに生い茂る草むらが一瞬開けて、水を張った田んぼが遠くまで見える瞬間があったんです。海が近くにあるような土地ではないのですが、広い水面に空が反射している様子が海に似ていると感じて、印象に残っています。

ーー大白さんは今後どのような作品を描いていきたいですか?

大白:たむらしげるさんの『銀河の魚』に登場する、川をボートで昇っていたらいつの間にか天の川につながっていて、空から街を見下ろすというシーンが好きなんです。現実と地続きの世界なんだけど、歩いていたらいつの間にか不思議なところにいる。そんな作品が理想のひとつです。今はまだ短編しか描いていないのですが、いつか長編作品も描いてみたいですね。

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