【漫画】漫画編集者が脱サラして農業を開始、人生はどう変わった? 「半農半X」の暮らし方
元漫画編集者のクマガエさん(@kumagaeagamuk)が実体験をベースに描く『漫画編集者が会社を辞めて田舎暮らしをしたら異世界だった件』。ヒット作を生み出せず、人生に悩む漫画編集者が、脱サラして田舎に移住し、農業と向き合う様子を描いた作品だ。
千葉県匝瑳市への移住を経て、クマガエさんは現在、同県某所の「都会と田舎のはざま」に移住。 フリー編集者&漫画原作者として働きながらも農ライフを満喫している。今回、「リアルサウンド ブック」では漫画原作を手がけるようになったきっかけ、実際の農ライフについて、創作において心がけていることなど、話を聞いた。
『漫画編集者が会社を辞めて田舎暮らしをしたら異世界だった件』を読む
ーー移住して農業を始めるようになったきっかけを教えてください。
クマガエ:講談社の漫画編集部で7年間働いていたんですが、担当していた「月刊少年ライバル」という雑誌が休刊になってしまい心がポッキリ折れてしまったんです。単純に仕事が忙しいということもありましたが、ヒット作が出せないことで「この仕事に向いてないんじゃないか」と思う気持ちが強くなってしまって。そのタイミングで退職を考えるようになりました。
そんなとき偶然、『SOSA Project』というNPO法人を主宰している高坂勝さんという人と出会い地方移住と農業に興味を持ちました。高坂さんは、会社を辞めて地方に移住して、自分で食べる分の米や野菜を作りながら、自分のやりたいことを仕事にして暮らす「半農半X」という生き方を提唱している人なんですが、これなら会社辞めても生きていけると思ったんですね。
ーー実際にコロナ禍の影響もあって、地方に移住する人が増えたとも聞きます。クマガエさんが移住されたのはいつですか?
クマガエ:5年前の2016年です。当初から米を作っていました。少しずつ借りる田んぼを広げていき、去年くらいからは1年分の米を収穫できるようになりました。自分で主食の米を作れて飢え死にしないという安心感。生きる自信がつきましたね。
ーー最初は千葉県の匝瑳市に移住されたんですよね。移住に対する不安はありませんでしたか?
クマガエ:都内と比べて家賃も安いですし、いざとなれば編集者としてフリーランスで働けると思っていたのでそこまで不安はありませんでした。ただ実際に移住して古民家暮らしを始めてみたんですが、これが思ったよりも大変で……。家の周りに娯楽施設はもちろんなく、気分転換に行けるようなカフェもない。お風呂にはシャワーが付いてなくて、居間にクーラーもありませんでした。そのうえゴキブリが土間に住み着いて、完全に恐怖でした(笑)。あと田んぼの真ん中にあるような家だったので湿気がすごくて、鞄や靴が全部カビてしまったり。そんなことが続いて、妻も体調を崩してしまったので、いったん普通のマンションに引っ越すことに決めました。田舎暮らし自体は楽しかったので東京には戻らず「都会と田舎のはざま」のような場所を探して、今の住まいに引っ越しました。都会と田舎のハイブリッド感がちょうどよかったんですね。