人斬り抜刀斎、木の葉の黄色い閃光、死の外科医……「厨二病心」をくすぐる漫画キャラの異名5選

運び屋 荒北靖友『弱虫ペダル』

 自転車競技部の活動に青春を燃やす少年たちの姿を描いた、『弱虫ペダル』(秋田書店)の主人公、小野田坂道。そんな小野田の所属する総北高校のライバル、箱根学園でゼッケン2番を付けていたのが“運び屋”荒北靖友である。気性が荒く攻撃的な口調が目立つ荒北が“運び屋”と呼ばれる理由、それは彼が文字通りエースを運ぶアシストのスペシャリストであるためだ。

 アシストと言っても、彼の実力はモブキャラで収まるレベルではない。インターハイ3日目で自分と共に集団に飲まれた真波と坂道を引き連れ、強敵となった呉南をブッチぎった荒北。当然ながら、作中においてアシストの役割を担っている人物は、彼以外にも大勢存在するが、荒北はその中で唯一無二の通り名として、“運び屋”を自分のモノにしているのだ。シンプルながら仕事人の雰囲気を彷彿とさせるこの異名は、荒々しくも常人離れしたアシスト力を持つ荒北にこそ似合う。

最強の血統書 キッド(武者小路紫苑)『アイシールド21』

 アメフト漫画の金字塔『アイシールド21』(集英社)に登場する、日本一のクォーターバック、キッド。攻撃最強チームである「西部ワイルドガンマンズ」を率いる彼の持ち味は、神速の早撃ちと正確無比なコントロールである。そんな妙技から「早撃ちキッド」として知られる。しかしキッドにはもう1つの異名が存在する。それが“最強の血統書”だ。

 キッドという名前は、監督が付けた選手登録名に過ぎない。彼の本名は、武者小路紫苑。彼は元々オリンピックピストル射撃で3連覇を成し遂げた華族の末裔、武者小路一の一人息子であった。ピストル射撃で結果を出せず父から叱責され、家を出た過去を持つキッド。しかし彼のクォーターバックとしての神業は、まさしく父の才能を受け継いだ賜物だろう。キッドの射撃テクニックを見たヒル魔は、彼を“最強の血統書”と称した。

死の外科医 トラファルガー・ロー『ONE PIECE』

 『ONE PIECE』(集英社)にて主人公、ルフィと同じ「最悪の世代」の1人として名を連ねる、“死の外科医”トラファルガー・ロー。医者であり海賊である点から、付けられたこの異名。『ONE PIECE』の作中には“海賊狩り”“鷹の目”など、様々な異名が登場するが、やはり“死の外科医”のカッコよさは群を抜いている。またロー自身も、「第1回 ONE PIECEキャラクター世界人気投票」にて、麦わらの一味以外で唯一ベスト5に入る大人気ぶりを見せた。

 最近は面倒見がよくルフィに振り回される印象が多いものの、当初からニヒルで大胆不敵な魅力を見せていたロー。不気味な笑みを浮かべながら海賊の頂点に肉迫する男に、この異名はマッチしている。

 今回は5つの異名を厳選したが、もちろんカッコよく魅力的なのは紹介したものだけではない。普段は気に留めていなくても、注視していると、意外にも多くの作品のキャラに異名が付いているのが分かるだろう。今後新たな作品に手を伸ばす時は、ぜひ注目しながら楽しんでもらいたい。

■青木圭介
エンタメ系フリーライター兼編集者。漫画・アニメジャンルのコラムや書評を中心に執筆しており、主にwebメディアで活動している。

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