『SPY×FAMILY』擬似家族はどうやって絆を深めた? 感動のエピソードを振り返る

3.MISSION5:スパイ失格!? 父、殴る

 SPY×FAMILYを語る上で外せないのが第5話。アーニャのイーデン校入学試験の話です。3人揃って面接を受けに行った際、学園側からの圧迫面接とも言える質問で、アーニャは泣いてしまいます。「今のママと前のママどっちが高得点だ?」。まだ6歳(※偽装年齢)の元孤児には残酷な質問。アーニャの本当の両親についてはまだ作中で語られていませんが、施設にいたところを見ると良い別れ方はしていないでしょう。泣き続けるアーニャに、憤るヨル。

 その隣で冷静さを保っているように見えた黄昏ですが、突如面接官の机を拳でたたき割ります。その後「選ぶ学校を間違えました」と言い残して3人は面接会場を後にしました。

 スパイである黄昏のミッションを達成するには、アーニャのイーデン校入学は必須条件。面接で落ちるわけにはいかないのです。そのことを考えると、黄昏としては感情を露わにしないことが得策でした。

 それを重々理解した上で、黄昏は感情を抑えきれませんでした。スパイにはあるまじき黄昏の行動の裏には、偽りと言いつつ大切にしている家族への愛情が隠されることなく見えていました。偽りだった家族が本当の家族になりつつある。その片鱗にこれからの展開を期待させられるストーリーです。

 『SPY×FAMILY』は現在6巻(2021年4月現在)。ミッションの成否やお互いの素性の秘密を考えると、まだまだ物語はこれからだと考えられます。スパイものなのにギャグもあり、感動もある。この奇妙な面白さを醸し出すマンガがこれから先どうなっていくのか、そして疑似家族の行方はどうなるのか、まだまだ目を話すことの出来ない作品です。

■水城みかん(みずき みかん)
経理・フィットネス・Amazon系を中心に各種Webメディアにて執筆。趣味は漫画・アニメ。AlexaとVODに依存したひきこもり生活を満喫中。

 

■書籍情報
『SPY×FAMILY(6)』
遠藤達哉 著
価格:528円(税込)
出版社:集英社
公式サイト

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