2021年本屋大賞は町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』 「果たしてどこまで頑張れるんだろうと感じていた」

 作家・町田そのこが『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)で、2021年本屋大賞を受賞した。

 同大賞は書店員で構成されるNPO本屋大賞実行委員会が主催され、書店員による投票で受賞作品を決定している。18回目となる今年は、全国438書店、546人の投票があった。昨年に続いて、大賞の発表会はYouTube上で生配信され、受賞作発表の瞬間を多くの読者が共有した。

 『52ヘルツのクジラたち』は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言が発令された2020年4月に発売された。大賞を受賞した町田は登壇し、「昨年の4月は世の中が混乱していて、私もとても不安でした。そんな時に、無名に近い私の本が出版されて、果たしてどこまで頑張れるんだろうとも感じていました」と発売当初を振り返った。

 「この本を売るために頑張ってくださった中央公論新社の皆さん、大変な中、読者の方の一番近いところでずっと応援し続けてくださった書店員の皆さん、本を受け取ってくださった読者の皆様のおかげで、本屋大賞までいただくことができました」と時折涙ぐみ、言葉につかえながら挨拶。

 「錚々たる先生方が名を連ねている賞をいただいたことで、受賞の喜びよりもプレッシャーのほうが大きくて、胃薬を飲んでいます」とも明かしつつ、「賞に見合う作品だと信じて投票してくださった書店員さんがいらっしゃるので、甘えたことを言わずに背筋を伸ばして、精進していこうと思っています」と締め括った。

 町田は『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』『ぎょらん』『うつくしが丘の不幸の家』などの短編集で注目されてきた作家で、今作は自身初となる長編小説だった。リアルサウンド ブックでは町田そのこのインタビュー記事を掲載している。こちらも合わせて参照されたい。

「親が子を愛すというのもそんなに簡単なことじゃない」 作家・町田そのこが考える、虐待問題の難点

町田そのこ(撮影:三橋優美子)

 

 また、翻訳小説部門の大賞はアメリカの作家ディーリア・オーエンズの『ザリガニの鳴くところ』(友廣純 訳)が、「発掘部門」には、みうらじゅんの『「ない仕事」の作り方』が選ばれている。

「本屋大賞」 2021年の受賞作発表動画

全国の書店員が選ぶ「本屋大賞」 2021年の受賞作を発表(2021年4月14日)

ノミネート作品・順位

受賞『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/中央公論新社)
2位『お探し物は図書室まで』(青山美智子/ポプラ社)
3位『犬がいた季節』(伊吹有喜/双葉社)
4位『逆ソクラテス』(伊坂幸太郎/集英社)
5位『自転しながら公転する』(山本文緒/新潮社)
6位『八月の銀の雪』(伊与原新/新潮社)
7位『滅びの前のシャングリラ』(凪良ゆう/中央公論新社)
8位『オルタネート』(加藤シゲアキ/新潮社)
9位『推し、燃ゆ』(宇佐見りん/河出書房新社)
10位『この本を盗む者は』(深緑野分/KADOKAWA)

■受賞作情報
『52ヘルツのクジラたち』
著者:町田そのこ
出版社:中央公論新社
価格:1600円(税別)
出版社:中央公論新社
https://www.chuko.co.jp/tanko/2020/04/005298.html