『呪術廻戦』両面宿儺の元ネタとなった“鬼神”とは? 伏黒と宿儺の気になる関係性を考察

 そして、宿儺の性格は邪悪そのもの。己の快・不快のみが生きる指針であり、自分が楽しみたいだけの正真正銘の外道である。一番最初に虎杖の体を一時的に支配した際もそうだ。「女も子供も蛆のように湧いている」、「鏖殺(おうさつ)だ」と叫んでいたり、異形化してしまった吉野順平を治してほしいと虎杖に頼まれた時もすぐさま断り、「矜持も未来も!!おまえの全てを捧げて!! 俺に寄り縋ろうと!!何も救えないとは!!」、「惨めだなぁ!!!この上なく惨めだぞ!!小僧!!!」と満面の笑みで虎杖をあざ笑ったり。「呪いの王」と呼ばれるにふさわしい極悪人だ。

 しかも、とてつもなく強いから手に負えない。宿儺の強さは筆舌に尽くしがたいほどだが、呪物となる生前から五条悟の比ではないほど恐れられていた。公式ファンブックの中で生前宿儺は呪詛師だったのか問われた作者の芥見下々が、「もっと天災とかに近いものだったんじゃないですかね」と答えていることからも、人の力でどうこうできる相手ではないほどの強さだったと想像できる。

 実際、呪術師たちが瀕死の痛手を負わされた相手でも、宿儺ならば瞬殺だ。さらに、本来領域展開は結界を張って空間を分断するのだが、宿儺の「伏魔御廚子」は結界を閉じない。結界を閉じずに生得領域具現化することはキャンバスを用いず空に絵を描くに等しいとされており、「正に神業」と評されている。これほどまでに力を持つ極悪キャラである宿儺だが、現在の外見が主人公である虎杖だからか、意外と「憎めない」という声も多い。特に、漏瑚の最期のシーンで「誇れ オマエは強い」と称賛したときには大きく株を上げていたのではないだろうか。

『呪術廻戦』2巻(集英社)

 現在気になるのは、伏黒と宿儺の関係性だ。宿儺は常に伏黒をヒロインが如く気にかけており、キーマンとして捉えていることは間違いなさそうだ。実際虎杖も「宿儺が伏黒を使って何か企んでいる」と言っている。虎杖の体を完全に乗っ取るためなのか、虎杖の体から脱出するためなのかはわからないが、伏黒の力を使って復活を遂げようとしているのではないかと考えられる。ちなみに、伏黒が最強の式神・八握剣異戒神将魔虚羅を呼び出す際に唱える「布瑠部由良由良」という言葉がキーになるという考察も。いずれにせよ、宿儺にとって自分の目的を達成するためには伏黒が必要不可欠というわけだ。

 現在、虎杖が食べた宿儺の指は15本。虎杖曰く「残り5本全部一度に食わされても肉体は乗っ取られないと思う」とのこと。そう考えると宿儺はいわゆるラスボスにはならないのではないか、とも考えられる。しかし、これまでの行ないを鑑みると、改心して虎杖たちと協力をする結末も考えにくい。この先、宿儺はどう立ち回っていくのか。また一波乱起こりそうだ。

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