『呪術廻戦』究極メカ丸の生き様とは? 「渋谷事変」で果たした役割を考察

 だが、まだメカ丸の活躍は終わらない。渋谷事変で五条悟が(偽)夏油に封印された後、「保険」と称した小さな傀儡となって虎杖悠仁をサポートするのである。離れた場所にいた虎杖が五条の封印をいち早く知り、高専関係者たちと情報共有できたのはメカ丸のお陰に他ならない。途中、脹相と戦って窮地に追い込まれている虎杖にアイデアを出すなど、良い働きもして見せている。

 そして、渋谷事変の決着が着く頃、「不発のリスクを低減させるため 事前にこの傀儡を忍ばせるのも3箇所までとしタ」という内の1体が、新幹線で東京に向かう三輪を説得していた。

 これまで、メカ丸が過去を振り返る際、出てきていたのは三輪。メカ丸が三輪に好意を寄せていたのは間違いないだろう。メカ丸にとって最期だからこそ、必死で渋谷に向かう三輪を止めようとしたのだ。しかし、頑なな三輪を見て時間が足りないと感じたのだろうか。メカ丸は「大好きな人がいたんダ どんな世界になろうと俺が側で守ればいいと思っていタ」、「その人が守られたいのハ 俺じゃなかったかもしれないのニ」と自分の思いを吐露する。そして、幸吉として「三輪 幸せになってくれ」「どんな形であれオマエが幸せなら俺の願いは叶ったも同然だ」と伝え、この世を後にする。

 最期の言葉はカタカナが混ざっていないことからも、幸吉として三輪に送った言葉なのだろう。ここまで用意周到に傀儡を残していたということは、無為転変で体を治したあと、どこかで「自分は殺される」と想定していたということ。一縷の望みを託して仲間を裏切る選択をしたメカ丸だが、そのすぐ先には常に絶望があったのかもしれない。

 振り返ってみると、メカ丸と三輪の2人のシーンは、いつも以上に映像のごとく描写されている。まだアニメ化されていないパートでも、余裕で脳内再生ができるぐらいだ。だからこそ、この2人の印象が強く、関係性が切ないと思えてくるのかもしれない。原作ファンの方はもう一度味わいながら読み返してみてはいかがだろうか。

 

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