THE RAMPAGE 川村壱馬が語る、『小説 BATTLE OF TOKYO』の魅力 「掘っていくと深いメッセージがある」

いちファンとして今後も楽しみたい

ーーTHE RAMPAGEは用心棒組織「ROWDY SHOGUN」という設定です。

川村:「ダークヒーロー」という表現があって、くすぐられましたね。「バットマンじゃん」って。ROWDYは自分たちのグループでもあるのでいろいろイメージもしやすくて、想像力をすごくかきたてられながらめっちゃ楽しんで読ませてもらいました。にやけてましたね。ファンの方もそうやって想像しながら読めるし、逆に僕らをまったく知らずに小説からこの世界に入ってくれた人は、EXILE TRIBEとかLDHというフィルターがかからない状態で楽しめると思います。小説は視覚化されているものがない分、読み手によって想像するものが全然違うじゃないですか。幅広い楽しみ方ができますよね。

ーーたしかに、書籍の中ではそれぞれのキャラクターの“中の人”ーーという言い方が適切かはわかりませんがーーが誰なのかは一切書かれていないので、Jr.EXILEのことを何も知らなくても小説として楽しめます。

川村:僕自身、そこをしっかり一致させて読めたのは、数原さんと涼太さん、LIKIYAさん、陣さん、RIKUさん、北人くらいでした。自分のグループのメンバーですら誰が誰かかなり怪しい感じだったので、いち読者の目線でも楽しめました。

ーーそれともうひとつ、小説版を読んでおもしろかったのが、2019年にリリースされた「BOT」の一連のMVで語られていた「虚と実」という言葉が、実はプロジェクト全体に通底するものだったとわかった点でした。コピーとオリジナル、フェイクとリアルというのはすごく現代的なテーマですよね。

川村:深いことを書いてますよね。ちょっと見方を変えれば、産業的な部分でもとらえられるかもしれません。そこまでは書かれていないですけど、見えないものの価値だったり、逆にすでに価値をつけられているものに対して「それって固定概念だよな」と思わされたり、掘っていくと深いメッセージがあるのかなというのは読んでいて思いました。すべてではないけど、今の社会とリンクする部分もあると思うので、いい形で社会に届いてほしいなという内容になっています。

ーーここから広がっていくのが楽しみですね。

川村:シンプルにこの小説が売れてほしいです。これを読んだことで、自分のキャラクターやROWDYの人気が出たらいいなとかは、いい意味でまったく思わなくなりました。作品がおもしろすぎるんで。自分が作ったキャラクター、分身みたいな存在は出ていますけど、作品として別物だと思って、いちファンとして今後も楽しみたいです。


■書籍情報
『小説 BATTLE OF TOKYO vol.1』
著者:月島総記
発行元:角川文庫
価格:640 円(税別)
発売日:2021年2月25日(*地域・店舗により若干異なります)

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