オンライン飲み会、ゲーム課金中毒、プロゲーマー……『こち亀』の未来予見エピソード4選
プロゲーマー
今や「eスポーツ」に代表されるような、プロゲーマーの存在は広く認知されているが、ファミリーコンピューター発売年度の1983年、「こち亀」はすでにゲーマーの誕生を予言していた。
当時のゲームセンターに置かれていたゲーム機を手に入れた両津は、中川に「わしはTVゲームのプロになるんだ」と宣言。「プロになってどうするんですか」と、聞かれると、「今やコンピューターエレクトロニクスの時代なんだぞ。時代に乗り遅れるぞ。21世紀は全てがコンピューターだ。だから先を読んでTVゲームのプロになる」と説明する。
困惑する中川は「そこがよくわからない」と話す。すると両津は「将棋とか囲碁とかボーリングなど、元は娯楽で今じゃプロもいるだろう!」と一喝した。(29巻)
両津の「21世紀は全てがコンピューター」という予言はほぼ的中。そしてプロゲーマーが実際に生まれていることもご存知の通りだ。両津の未来を読む力は、まさに慧眼といえるだろう。
マイナンバー
市区町村から住民に指定される12桁の番号、マイナンバー。社会保険や税などの情報を効率的に管理するため、2016年から利用が開始されたものである。
賛否両論のマイナンバーだが、両津はこの原型ともいえる構想を1998年に語っていたのだ。両津は「住民票なんて紙も必要ない」と指摘し、「データで送りゃいいんです。免許証のナンバーをIDにしてパスワードを決めて」と話す。現時点でマイナンバーは免許証のナンバーとはリンクしていないが、政府はマイナンバーと免許証一体化を推進しているし、オンラインで住民情報を管理するアイデアは、マイナンバーと同じといえる。
続けて両津は「オンライン処理にしないわけは人員カットが怖いからですよ」「思い切った改革が必要です」「だいたい役人の数が多すぎますよ、何十万人も」と力説する。しかし「まっ先にお前が必要ない。クビになるな」「そうよ報告書も書かないんだから」「地方公務員も多いですからね」と大原部長、麗子、中川に指摘されてしまう。
痛いところを付かれて焦る両津は「やっぱしオンラインは止めましょう。窓口を10箇所くらいにして、書類を20枚くらい書かして、ハンコを5種類以上押させたほうが良いですね」と、オンライン管理案を取り下げる。この「オチ」も、現代が抱える役所の問題点を見事に指摘している。
豊かな発想が作品の魅力
発表当時「突拍子もない」と感じさせた両津の発想が、実は的確であり現実になっている。取り上げたもの以外にも、そのようなケースはかなり多い。
そんな豊かな発想は「こち亀」の魅力の1つ。時間に余裕ができる年末年始に改めて読み返してみるのも面白いだろう。