愛猫の最期を看取るために……飼い主だからこそできる「ターミナルケア」とは?

 愛猫の命が消えそうな時、私たち飼い主は重大な選択を余儀なくされる。命の全権が自分にゆだねられているように感じるから、ひとつひとつの判断を振り返っては「正解だったのだろうか」と考えては後悔したり、苦しくなったりすることもあるだろう。

 だが、私たち飼い主には命を助けることよりも、もっと重視すべきターミナルケアがあるのではないだろうか。それは、「間違えることのないように愛猫の死を見届けること」だ。この場合の間違いとは、どんな治療を選び、どんな結果になったかではない。飼い主としての責任を放棄しないことだ。

 愛猫は何が好きで、何が苦手か。どんな時に喜び、怒るのか。それを1番よく知っているのは、飼い主である私たち。そんな飼い主から最期まで愛情を注いでもらえたら、愛猫も安心して老い、“その時”を迎えられる。

 命を紡ぐための投薬や治療はもちろん大切だ。だが、愛猫の気持ちを鑑み、寄り添うという飼い主にしかできないターミナルケアはより大切なように思う。いつもの声で名前を呼び、笑顔を向けてくれ、ぬくもりも感じられる。それはもしかしたら、愛猫にとって一番嬉しいターミナルケアだと言えるのかもしれない。

 なお、本作には獣医師や猫先輩によるコラムも収録されており、そちらも心強い味方となってくれる。火葬やペットロスの乗り越え方など、「死の先」にも触れているため、ただ「悲しい物語」ではなく、飼い主が前を向くための看取り本であるともいえる。

 あの子は、どんな最期を望むだろうかーー。そう考えてみると、無力なように思えた自分にしかしてあげられないターミナルケアが見えてきそうだ。

■古川諭香
1990年生まれ。岐阜県出身。主にwebメディアで活動するフリーライター。「ダ・ヴィンチニュース」で書評を執筆。猫に関する記事を多く執筆しており、『バズにゃん』(KADOKAWA)を共著。

■書籍情報
『まんがで読む はじめての猫のターミナルケア・看取り』
著者:猫びより編集部
全体監修:古山範子
医療指導:西村知美
ケア指導:武原淑子
まんが:ななおん
イラスト:小野崎理香
構成:粟田佳織
出版社:日東書院本社
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