『ジャンプ』はいまや「少年」だけのものではない! 『BURN THE WITCH』かわいい魔女たちの力強いメッセージ

 「おとぎ話なんかクソでしょ」といういささか挑発的なヒロインの言葉で始まる『BURN THE WITCH』は、『BLEACH』で知られる久保帯人の待望の新作だ。

 先ごろ発売されたばかりの単行本第1巻には、今年(2020年)、『週刊少年ジャンプ』(38号〜41号)にて短期連載された4話分と、2018年に発表された読切作品が収録されている(なお、単行本の巻末に載っている告知によると、同シリーズは「Season2」として今後も続いていくようだ)。

 『BURN THE WITCH』の主人公は、「ニニー・スパンコール」と「新橋のえる」というふたりの少女。片やアイドルグループ「セシルは2度死ぬ(セシル・ダイ・トゥワイス)」のリーダー、片やサウス・ブラクストン校に通う学生だが、それはあくまでも表の顔であり、彼女らの正体は、ドラゴンの保護と管理を任されたリバース・ロンドンの機関「WB(ウイング・バインド)」に所属する「魔女(ウィッチ)」である。ちなみにリバース・ロンドンとは、表(フロント)ロンドンの裏側にひろがっている謎めいた街のことであり、後者の住人は前者のことを「おとぎ話の街」だと思い、その実在を信じていない。

 また、「ドラゴン」とは、“架空”でもなければ“生物”でもない、遥か昔からロンドンにおける全死因の72%に関わっている「異形の存在」の総称である。荒ぶるドラゴンは人に害をなすが、表ロンドンの住人はその姿を見ることができない。だから必然的に、ドラゴンを見ることができる、リバース・ロンドンの住人がその保護と管理(時には退治)を行わなければならないというわけだ。

 物語は、ニニーとのえるのコンビに、「ドラゴン憑き」になってしまった少年・バルゴを加えた3人を中心に展開していくのだが、なんといってもこの魔女ふたりのキャラクターが新しい。というのは、そもそも『少年ジャンプ』の漫画でヒロインを主人公にした作品というのも珍しいのだが(※)、それ以前に、ニニーものえるもあまり、少年漫画の真ん中に立つようなタイプのキャラではないのである。

(※)念のために書いておくが、『キャッツ♥アイ』や『約束のネバーランド』など、これまで女性キャラを主人公にした作品が同誌でまったくなかったわけではない。

 つまり、勝気でブツブツ文句をいいながらもやる時はやる、というニニーと、沈着冷静な知性派ののえるというのは、どちらかといえば従来の漫画作品ではナンバー2の脇役として人気を博しそうなタイプのキャラであり(たとえば、ニニーのようなキャラは本来、主人公のライバルとして登場してきそうであり、一方ののえるは、戦隊物でいえば「アオレンジャー」タイプのキャラである)、そんな彼女らを「ふたりでひとり」のバディとして組ませて、あえて物語の中心(センター)に置いたおもしろさが本作にはあるように思える。

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